コラム

介護技能実習生を採用するポイントとは?制度の現状と受け入れ時のチェック要件を解説

技能実習生

2025/1/9
2025/1/9

(引用元:photoAC)

介護技能実習生を雇用したい企業にとって、技能実習制度の把握は重要です。制度の内容や採用のポイントを十分に理解していなければ実習生の受け入れがスムーズに進みません。介護職は、さまざまな事情から人材不足が深刻化しており、技能実習生の受け入れ人数の増加が労働力の確保という点で大きな役割を果たしています。では、介護技能実習生を採用するためにどういった点を注意すればよいのでしょうか?

この記事では、介護分野における技能実習生の受け入れの流れや受け入れにあたっての重要なポイント、注意点について解説し、企業が制度を効果的に活用できる方法をお伝えします。

技能実習制度とは?

技能実習制度は、発展途上国の人材に対して技能や技術を習得する機会を提供し、その知識を母国での発展に役立ててもらうことを目的としています。一方で、受け入れ企業や技能実習生自身にとっては、制度の仕組みや在留資格に関する理解が必要不可欠です。

それでは、技能実習制度の目的と背景、技能実習生の受け入れの仕組み、そして在留資格区分と在留期間について詳しくみていきましょう。

技能実習制度の目的と背景

先述したとおり、日本の技能実習制度は、外国人に技能や技術を学ぶ機会を提供し、それを母国での発展に活かしてもらうことを目的としています。
この制度は、発展途上国への国際貢献を掲げ、日本では1993年に創設されました。技能実習生は一定期間の在留資格を持ち、企業や団体で実際に働きながら技能を習得します。
初期の制度では3年が主流でしたが、制度の改正により、条件を満たせば最長5年まで在留可能となりました。

一方で、日本の労働力不足を補う目的で利用されている現実もあり、技能実習制度はその役割について議論が続いています。受け入れ企業にとっては、実習生が企業の成長を支える重要な存在となる一方で、適切な実習環境を整える責任が求められます。本制度は、日本と外国の双方に利益をもたらす前提ですが、運用上の課題も抱えているため、改善も必要です。

技能実習生の受け入れの仕組み


(引用元:厚生労働省ホームページ)

外国人技能実習生を受け入れるための明確な仕組みが整備されています。その仕組みは、設立から3年以上が経過している介護事業所であることが条件で、介護福祉士国家試験の実務経験対象施設に該当する必要があります。現在は、訪問系サービスは対象外となっていますが、。厚労省は今後、介護の基礎知識や技術を学ぶ「介護職員初任者研修」の修了などを条件に、技能実習生と特定技能、EPAに基づく介護福祉士候補者にも訪問介護での勤務を認める体制を整え、早ければ、2025年からの実施を目指しています。

さらに、技能実習生の受け入れには、受け入れ企業や監理団体、送り出し機関が連携して実施する体制が必要です。送り出し国の政府が認定する送り出し機関が、技能実習生を選定・派遣します。その後、日本の監理団体(事業協同組合など)が受け入れ企業を支援し、適切な環境で実習がおこなわれるよう監督しなければなりません。加えて、受け入れ事業所では、常勤の介護職員数に応じて技能実習生の受け入れ人数に制限が設けられています。
たとえば、常勤介護職員が41〜50名の事業所では、技能実習1号の受け入れ可能人数の上限は「5名」とされています。このように、受け入れる側の常勤総数によって、技能実習生の人数が変わるので事前に受け入れ人数を確認しておきましょう。

ほかにも、受け入れ企業には、技能実習生が実習目的を達成できるよう適切な指導やサポートを提供することが必須です。また、実習計画の作成や定期的な報告が義務付けられており、不適切な運用がおこなわれた場合には、厳しい処分が科される可能性があります。このように、技能実習制度の受け入れの仕組みは、日本と外国の双方が協力し、技能移転と国際貢献を目指した運用となっています。

在留資格区分と在留期間

技能実習制度に基づく外国人技能実習生の在留資格区分は、実習の進行状況に応じて以下の段階に分かれています。これらの区分は、技能の習得レベルや在留可能な期間を明確に定めることで、実習の目的を確実に達成することを目指しています。

在留資格区分と在留期間 実習の期間・目的
技能実習1号(入国1年目) ・主に基礎的な技能や知識を学ぶ期間
・在留期間は最長1年
・この期間中に適切な技能実習計画に基づいた研修を受ける
技能実習2号(2~3年目) ・1号を修了し一定の評価を得たうえで実技試験の合格が条件
・実務に即した技能を習得
・在留期間は最長2年
・技能の向上と実務経験を深める
技能実習3号(4~5年目) ・優良な監理団体や企業でのみ受け入れが許可される区分
・在留期間は最長2年
・習得した技能をさらに高めることが目的

それぞれの在留資格区分を通じて、技能実習生は最長5年まで日本に滞在することが可能です。ただし、各段階で適切な評価や審査を受けることが条件となります。技能実習制度では、これらの在留資格区分を明確にすることで、実習生の技能向上と受け入れ先企業の適正運用を図っています。

介護分野の受け入れ状況

日本の介護現場は、深刻な人手不足が続いており、高齢化が進むなか、その状況はさらに悪化すると予測されています。このような背景から、外国人技能実習生の受け入れが注目されるようになり、少しずつ受け入れも進んでいます。。

この章では、技能実習生の受け入れ申請状況や、技能実習制度と特定技能制度の違いを解説します。

技能実習生の受け入れ申請状況

介護分野の技能実習生受け入れ申請件数は、年々増加しています。厚生労働省によると、2024年時点で、介護分野の技能実習生として働く外国人は、約2万人に達しており、その多くがベトナム、フィリピン、インドネシアといった国々から来ています。
しかし、介護分野は、日本語能力試験(JLPT)のN4以上を求められるなど、一定の基準を満たさなければなりません。そのため、ほかの業種に比べると介護分野はハードルの高い業種といえます。

くわえて、受け入れ企業には、実習計画の作成や、実習生が安全かつ快適に働ける環境を整える責任が生じます。介護現場では、身体介助やコミュニケーションが重要であり、これらを円滑におこなうための研修体制が不可欠です。
一方で、監理団体と受け入れ企業の連携が不十分な場合に、実習の目的を果たせないという課題も指摘されている現状があります。

技能実習制度と特定技能制度の違い

技能実習制度と特定技能制度は、いずれも外国人労働者を介護分野に受け入れるための仕組みです。そのため、この2つを同じ制度として捉えている人も少なくありません。しかし、それぞれの目的や適用条件に違いがあります。

技能実習制度は、発展途上国への技能移転を目的としており、主に介護の基礎的な技術を学ぶ場として位置づけられています。在留期間は最長5年であり、技能実習1号から3号までの段階を経て進む形式です。

一方、特定技能制度は、即戦力となる人材を確保するために設けられた制度です。特定技能1号では最長5年間の在留が認められ、試験に合格すれば特定技能2号に移行することでさらに長期的な滞在が可能となります。また、特定技能制度では、日本語能力に加えて専門知識が求められるため、技能実習制度と比較して即戦力としての期待が高まります。

さらに、資格取得を目指す外国人には、介護福祉士としての業務を遂行できる高度なスキルが求められます。そのため、介護福祉士国家試験に合格することが重要なステップとなります。この試験に合格することで、外国人は介護福祉士在留資格を取得し、長期間日本で働くことができます。介護福祉士の資格を取得した人材は、実習生や特定技能労働者に比べて、より専門的な知識と実践力を持つため、介護現場における即戦力として大きな期待が寄せられています。

介護技能実習生受け入れの基本要件


(引用元:photoAC)

介護技能実習生を受け入れるには、いくつかの基本的な要件を満たす必要があります。まず、受け入れ企業は適切な介護サービスを提供していることが求められます。具体的には、法律や規定を順守していること、過去に労働法違反や不正行為がないことが条件です。技能実習制度全体では、技能実習指導員の配置人数に関する具体的な基準はありません。しかし、介護職種においては例外的に、看護師または職務経験が5年以上の介護福祉士を、技能実習生5名につき1名以上配置することが義務付けられています。

さらに、介護職では夜勤や緊急時にも対応しなければなりません。技能実習生が夜勤業務や緊急対応に従事する場合には、利用者の安全を守るために適切な対策を講じることが必要です。また、技能実習生が業務を行う際には、指導をおこなうために必要な人数の介護職員を技能実習生以外から配置するなど、受け入れ体制を万全に整えることが求められます。

実習生本人には、日本語能力試験のN4(基本的な日本語を理解できるレベル)に合格していること、または「J.TEST実用日本語検定」や「日本語NAT-TEST」でN4相当の水準に合格していることが求められます。なお、望ましい日本語能力の水準はN3程度です。

介護技能実習生の受け入れには、法的な手続きや準備が求められる一方で、介護技能実習生の学力、コミュニケーション能力なども問われます。制度の目的と要件を理解し、万全の体制で実習生を迎え入れることが介護士としてスキルアップするための成功のカギといえるでしょう。

受け入れ時の注意点

介護施設や事業所にとって介護技能実習生の受け入れは多くのメリットがあります。しかし、安易に受け入れを決めると受け入れのタイミングで思わぬ事態を招く恐れもあります。
受け入れ時の注意するポイントを詳しくみていきましょう。

1.実習計画の適切な作成と認定

介護技能実習生を受け入れる際には、最初に実習計画を適切に作成し、技能実習機構の認定を受ける必要があります。この計画には、実習生が習得する技術や知識の内容、指導体制、労働条件、教育方針が詳細に記載されていなければなりません。介護分野では、身体介助や認知症ケアといった専門技術の指導が求められるため、計画内容が実際の現場での指導と一致していることが重要です。

2. 実習生のメンタルケアとコミュニケーションの強化

実習生が異国での生活や仕事に適応するためには、精神的なサポートが欠かせません。文化や言語の違い、生活習慣の変化は、実習生にとって大きなストレス要因となる可能性があります。受け入れ企業や現場のスタッフは、実習生が抱える不安や悩みを聞き取り、適切な支援を提供することが求められます。

良好なコミュニケーション環境を築くことで、実習生は安心して働くことができ、学びへの意欲も高まります。

3. 法令遵守とトラブル防止の取り組み

技能実習制度を適切に運用するためには、法令を厳守し、トラブルを未然に防ぐ取り組みが不可欠です。受け入れ企業は、実習生の労働時間や給与などの労働条件が法規に適合しているかを確認し、不当な扱いがないよう注意を払う必要があります。また、労働基準監督署や技能実習機構からの指導が入る場合もあるため、日頃から記録を適切に管理することが重要です。

万が一トラブルが発生した場合には、速やかに専門機関や監理団体と連携し、解決を図る対応力が求められます。

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まとめ

この記事では採用時の注意点や成功のためのポイントも紹介しました。介護業界の人材不足を解消するため、技能実習生の採用は非常に有力な選択肢です。技能実習生は、現場で即戦力として活躍できるだけでなく、業務の効率化やサービス向上にも貢献します。ぜひ、紹介した内容を参考にして、受け入れの検討時に役立ててみてください。

また受け入れに必要な要件や具体的な手続きについて詳しく知りたい方は、@カイゴまでお気軽にお問い合わせください。資料請求や採用計画のご相談も承っております。

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