コラム

技能実習生の問題点は?原因や事例、外国人雇用制度の問題から受け入れ対策まで徹底解説

技能実習生

2024/8/20
2024/9/13

さまざまな分野でグローバル化が進む中、技能実習制度の受け入れに前向きな企業も増えています。受け入れを検討する際に気になるのが、技能実習生にまつわるさまざまな問題です。そこで今回は、技能実習生の問題点やその原因について解説します。事前に問題を抱えずにスムーズに技能実習生の受け入れができるよう、対策や定着率を上げるためのポイントも解説するため、ぜひ参考にしてください。

技能実習生とは?


外国人技能実習制度とは、開発途上国の若年労働者を日本に受け入れ、日本の企業で一定期間働いてもらい、そこで学んだ技術を母国の経済発展のために活用してもらうことを目的とした制度です。

この制度の背景には、1960年代に海外へ拠点を持つ大企業向けに始まった「研修制度」があります。その後、中小企業でも人手不足が深刻化する中で、海外人材の受け入れが活発化し、現在の技能実習制度へと発展しました。

ただし、この制度は、単純な労働力として外国人を受け入れるものではありません。外国人技能実習制度は、日本と開発途上国の双方にとってメリットのある、国際貢献の側面を持った制度です。日本にとっては、自国の技術やノウハウを海外に発信し、国際社会への貢献につながります。一方、開発途上国にとっては、人材育成を通じて経済発展を促進し、国際競争力を強化できます。

しかしながら、外国人技能実習制度をめぐっては、人手不足の解消のための労働力として利用されているのではないかという批判も存在します。制度の趣旨を逸脱した運用がおこなわれることのないよう、政府や関係機関は引き続き適切な指導や監督をおこなう必要があります。
技能実習法の施行により、外国人技能実習制度はより厳格な管理体制のもと運営されるようになり、技能実習生の権利保護が強化されました。受け入れ企業は、技能実習生に対して適切な指導や教育をおこなうとともに、快適な生活環境を提供することが求められています。

技能実習制度の現状


まずは、技能実習制度の現状について確認していきましょう。

日本における技能実習生の現状


※2023年5月末時点
(出典元:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和5年10月末時点))

厚生労働省のデータによると、日本で活躍する技能実習生の数は412,501人で、前年比20.2%増と、技能実習生の受け入れ数が確実に増えていることがわかります。

また、外国人技能実習機構のデータで業種別の割合を見ると、建設関係が21.9%、食品製造関係が19%、機械・金属関係が14.4%と続きます。

また、国籍別に見ると、技能実習生全体の半分以上(50.6%)を占めるのがベトナムです。次に17.4%のインドネシア、9%のフィリピン、7.4%の中国と続き、第4位に6.1%でミャンマーがきます。

※2022年4月1日から2023年3月31日までの集計結果
(出典元:外国人技能実習機構「令和4年度外国人技能実習機構業務統計 概要」)

技能実習制度を取り巻く課題

技能実習制度は、本来開発途上国の人材育成を目的とした制度ですが、近年、日本国内の労働力不足を背景に、その目的がゆがめられ、さまざまな問題点が指摘されています。

まず、建設業や食品製造業、農業など人手不足の業種で技能実習生が貴重な労働力となっている現状があります。そのため、技能実習生が本来学ぶべき技能習得よりも、単純労働に充てられるケースが散見されます。これは、制度の趣旨に反しており、国際的な批判も招いています。

また、技能実習生に対する待遇や労働環境の問題が深刻です。低賃金、長時間労働、パワハラ、セクハラなどの問題が報告されており、人権侵害に繋がるケースも少なくありません。悪質な仲介業者の存在も問題視されており、技能実習生が多額の借金を背負って来日し、搾取される状況も発生し、技能実習生の権利が保護されない状況が生まれています。

これらの問題により、技能実習制度は「人身売買の温床」と指摘されることもあります。日本政府は、技能実習制度の適切な運用と改善を急ぎ、制度の本来の目的である人材育成に再び焦点を当てる必要があります。

技能実習生の問題点


技能実習制度に関して、低賃金や劣悪な労働環境などさまざまな問題が指摘されています。今回は大きく5つに分けて技能実習生の問題について詳しく見ていきましょう。

低賃金と未払い賃金

日本国内では、技能実習生に対する低賃金や未払い賃金などの問題が深刻化しています。

多くの技能実習生は、日本の最低賃金を下回る賃金で長時間労働を強いられています。残業代が支払われないケースも少なくなく、実質的な時給が極めて低い水準にとどまっている実態があります。これは、技能実習生が外国人であることを理由に、労働基準法が軽視されているといった捉え方もできるでしょう。

縫製工場や建設業などでは、技能実習生が深夜労働や休日労働に従事させられながらも、割増賃金が支払われないケースが報告されています。また、入国前に提示された賃金と、実際に支払われる賃金が異なるケースもあり、技能実習生は多額の借金を背負いながら、劣悪な労働環境で働かされているという状況も発生しています。

当たり前のことではありますが、国籍を理由に待遇をおろそかにしてはいけません。
このような低賃金や未払い賃金の問題は、技能実習生の人権侵害だけでなく、日本の労働市場全体の秩序を乱す要因ともなりかねません。技能実習制度の目的を達成するためには、受け入れ企業による法令遵守が不可欠です。

長時間労働と労働災害

技能実習生は、日本の生活費を稼ぎたいという思いから、自主的に長時間労働に耐えるケースが見られます。一方で、受け入れ企業側も、人手不足を補うために技能実習生に過度の労働を強いるケースがあり、月200時間を超えるような長時間労働も発生しています。

労働基準法では、労働時間は厳しく規制されていますが、現場でこれらの法律が守られていない場合があるのも現状です。時間外労働の記録の改ざんや、法定労働時間の大幅超過などの労働問題が横行すると、技能実習生の健康や生活に深刻な影響を与えます。

また長時間労働だけでなく、技能実習生は労働災害のリスクも高くなっています。日本の労働環境や安全基準に慣れていないため、機械操作のミスや不注意による事故が発生しやすい状況です。また、日本語が十分に理解できないために、安全教育が十分に伝わらず、事故につながるケースも発生しています。

製造業の現場では、プレス機に挟まれたり、機械に巻き込まれたりするなど、重大事故が発生するケースが後を絶ちません。これらの事故は、企業側の安全対策の不徹底や、技能実習生に対する指導不足が原因であることが多く、労働基準監督署から是正勧告を受ける企業も存在します。

外国人技能実習生の犯罪事例

外国人技能実習生による犯罪は、社会問題となっています。特に、ベトナム人技能実習生による犯罪が増加傾向にあることが報告されています。

主な犯罪事例としては、SNS上で拡散される「闇バイト」への参加や、窃盗などが挙げられます。闇バイトでは、高額報酬を餌に、不正送金や口座の不正利用といった犯罪に誘い込まれるケースが多く見られます。また、窃盗では、特に食料品や日用品を盗み、それを転売するといった行為が問題となっています。

こうした犯罪の背景には、経済的な困窮や日本語能力の不足、日本社会や法律への理解不足などがあります。現代ではSNSを通して簡単に誤った情報が拡散され、大多数の技能実習生が目にできます。

また、技能実習生が犯罪に関与することは、個人だけでなく、企業や社会全体にも大きな悪影響を及ぼします。企業にとっては、ブランドイメージの低下や、法的な責任を追及される可能性があります。また、社会全体としては、治安の悪化や、外国人に対する偏見につながる恐れがあります。

ハラスメントの問題

技能実習生に対するハラスメントは、残念ながら多くの現場で起こっている深刻な問題です。技能実習生は言語の違いや文化の違いから権利の主張が難しく、ハラスメントの被害に遭いやすい状況にあります。ハラスメントには、パワハラ、セクハラ、モラハラなどさまざまあり、内容も異なります。

例えば、上司や先輩からの過度な指導、無理な作業要求、侮蔑的な言動、身体的な接触などが挙げられます。これらの行為は、技能実習生の尊厳を傷つけ、精神的な苦痛を与えるだけでなく、場合によってはPTSDなどの精神的な疾患を引き起こす可能性があります。

ハラスメントが発覚した場合、企業のイメージが悪化し、大きな損失をもたらす可能性もあるでしょう。また、法的な責任を追及される場合もあり、企業の経営に大きな打撃を与えるケースも考えられます。

技能実習生の失踪問題

技能実習生が日本での生活を投げ出し、失踪してしまう背景には、様々な要因が考えられます。金銭問題は大きな要因の一つにです。渡航費や生活費の負担、低賃金で長時間労働の日々などから逃げ出したいと思う技能実習生も存在します。他にもハラスメントや労働環境の悪さ、日本社会への適応の難しさなどが原因として挙げられるでしょう。

技能実習生の失踪は、本人にとっても、企業にとっても、そして日本社会にとっても大きな損失をもたらします。失踪した技能実習生は、不法就労や犯罪に手を染めるリスクが高まります。また、企業は人手不足に陥り、生産性が低下するだけでなく、企業のイメージダウンにつながることもあるでしょう。

問題が発生する原因


次に、上記で解説した問題が発生する原因を解説します。

技能実習生の失踪問題

技能実習生が抱える問題の一つとして、賃金に関する不満が挙げられます。多くの技能実習生は母国での生活を改善するため、日本での高収入を期待して来日します。しかし、実際には期待を下回る賃金しか受け取れないケースが多く、これが失踪の一因となっています。
理想と現実の差がモチベーションを低下させ、犯罪や失踪に手を染める技能実習生も少なくありません。法務省の2019年の調査では、失踪した技能実習生のうち約7割の賃金が最低賃金未満だったことがわかっています。

また、企業側としては最低賃金に設定することはできますが、人材の流出が避けられない場合があります。特定技能への移行ができるようになった時点で、優秀な技能実習生が他社へ転職してしまうことも考えられるでしょう。

企業とのコミュニケーション不足

技能実習生がさまざまな問題を抱えてしまったとしても、企業が実習生とコミュニケーションを密に取れていれば、最悪のケースを免れる可能性が高まります。

コミュニケーションをとる際、やはり言語の壁と文化の違いが大きな問題です。日本での仕事を通して技術を習得したいという期待を持って来日する技能実習生ですが、日本語能力の不足や日本文化への不慣れから、職場でのコミュニケーションが円滑に進まない場合もあるのが現状です。また、製造業の現場では、専門用語や指示が飛び交うため、誤解が生じやすい状況にあります。

コミュニケーション不足によって引き起こされる問題はさまざまあります。指示が正確に伝わらず、ミスや事故につながったり、不満が蓄積したり、人間関係が悪化したりなどが考えられるでしょう。

企業が技能実習生とのコミュニケーションを円滑に取るためには、「です」「ます」などの丁寧な言葉遣いにする、短い文で話す、視覚的な説明を取り入れる、重要なことは繰り返すなどを意識することが重要です。

事前情報の不足

多くの技能実習生は、自国の送り出し機関から日本での生活や仕事に関する情報を提供されます。しかし、その情報が必ずしも正確であるとは限りません。高収入や快適な生活といった魅力的な情報ばかりが強調され、実際の労働環境や生活の厳しさについては十分に説明されないケースがあります。

また近年では、SNSを通じて日本での生活に関する情報を入手する技能実習生が増えています。しかし、SNS上の情報は必ずしも正確ではなく、中には誤った情報や過度な期待を抱かせる情報も含まれています。このような情報に過度に影響されて、日本での生活に大きなギャップを感じてしまう技能実習生も存在します。

日本に来日してからも、日本の社会におけるルールやマナー、常識などに関する事前情報のなさからトラブルに巻き込まれたり、知らず知らずのうちに犯罪を犯すことにつながってしまったりします。例えば、自転車に二人乗りする、密猟にあたる動植物をとるなども事前情報不足から起こるものです。

技能実習生に関する最新ニュース


技能実習生に関するニュースが日々報道されています。今回は2024年7月時点で最新のものを4件ご紹介します。

・法令違反のある技能実習生受け入れ先数が過去最多
・在留期限が過ぎているベトナム人技能実習生を就労させた日本人男性が書類送検
・ベトナム人技能実習生同士のトラブル
・ミャンマー人技能実習生が「在留資格を無断で変えられた」と主張

厚生労働省は、2023年に実施した外国人技能実習生の受け入れ事業所に対する立ち入り調査の結果を2024年7月に発表しました。法令違反があった事業所は過去最多の7602カ所に達し、違反行為は労働安全衛生法違反や賃金未払いなどが目立ちました。2023年末時点の技能実習生数は約40万人に上ります。
(参考元:技能実習違反、最多7602カ所 厚労省、23年立ち入り調査)

・在留期限が過ぎているベトナム人技能実習生を就労させた日本人男性が書類送検
在留期限切れの技能実習生を働かせたとして、解体業の男性が書類送検されました。大阪府警の調べによると、同氏は、ベトナム人技能実習生3人を、日本での在留期限が切れているにもかかわらず、建設作業員として働かせていました。男性は、「信頼している人から3人を紹介されたため、身分を確認しなかった」と説明しています。この事件は、技能実習生に対する不法な就労を助長する行為として問題視されています。
(参考元:【独自】オーバーステイのベトナム人技能実習生を就労させたとして解体業経営の男性を書類送検 大阪府警)

・ベトナム人技能実習生同士のトラブル
高知市で、ベトナム国籍の技能実習生が同僚の技能実習生を包丁で刺し、殺人未遂の疑いで逮捕される事件が発生しました。刺された男性は命に別状はありませんでしたが、この事件は、技能実習生同士のトラブルが深刻な事態に発展した点で注目されています。技能実習生が抱えるさまざまな問題が、このような形で表面化してしまった可能性も考えられるでしょう。警察の捜査によって、事件の全容が明らかになることが期待されます。
(参考元:《自宅で包丁で突き刺す》ベトナム国籍の技能実習生(20)を殺人未遂で逮捕【高知】)

・ミャンマー人技能実習生が「在留資格を無断で変えられた」と主張
今治タオル製造の企業で働いていたミャンマー人技能実習生6人が、実習内容と異なる仕事に従事させられ、在留資格を無断で変更させられたと訴えています。当初「子供服製造」の実習生として来日した女性たちでしたが、実際には「今治タオル」の製造に従事していたといいます。その後、企業側の都合で「特定活動」という在留資格に変更となり、賃金未払いなどの問題も発生しました。

支援団体であるJAMは、同様のケースが全国で増えていると指摘し、今治タオル工業組合に人権尊重の取り組みを徹底するよう求めています。
(参考元:今治タオル製造の元技能実習生、「無断で在留資格変えられた」と訴え)

技能実習生の問題への対策


さまざまな問題点も指摘されている技能実習制度ですが、事前に対策することで実習生のスムーズな受け入れや企業と実習生双方にとって良い制度の活用が叶います。今回は大きく4つに分けて対策方法を見ていきましょう。

定期的な相談体制を整える

母国を離れて生活をしている技能実習生は、さまざまな不安や疑問を抱えています。定期的な相談の場を設けることで、これらの不安や疑問を早期に解消し、トラブルを未然に防げます。また、相談を通して、技能実習生の意見や要望を聞き、より良い職場環境づくりにつなげることも可能です。

さらに、技能実習生が外部に相談できる環境も整えておきましょう。自治体の外国人労働者相談コーナーや外国人技能実習機構では、技能実習生の母国語で相談できる窓口もあるため、日本語ができなくても問題ありません。他にも監理団体も交え、技能実習生と企業の三者面談を取り入れている企業もあります。

また、日本人従業員と技能実習生がコミュニケーションを取る場を設けるのも手段の一つです。ランチ会や社内イベントなどを通し、良好な人間関係を築き、相談しやすい環境を整えると良いでしょう。

企業内での技能実習生への理解促進

技能実習生への理解促進をすることで、円滑な職場環境づくりを目指しましょう。技能実習生を受け入れる理由や、適用される法令などについて従業員へ説明するようにします。従業員の不安を解消し、技能実習生受け入れへの前向きな姿勢を育むのに役立ちます。他にも成功事例の紹介や、異文化理解の教育も効果的です。

また暴言や暴力などの人権侵害行為を防ぐためにも、上記に加え、ハラスメントの禁止、具体的な行動指針などを周知徹底することが求められます。

技能実習生への理解促進は、単に法律上の義務を果たすだけでなく、多様な人材が共に働く、より良い職場環境づくりにつながります。

不法行為を正す

技能実習生に関する不正行為は、企業の評判を大きく損なうだけでなく、法的な責任を追及される可能性も孕んでいます。また不正行為が発覚した場合には1〜5年間など一定期間技能実習生の受け入れができません。

技能実習生の受け入れに際する不正行為の種類はさまざまあり、賃金不払い、人権侵害、虚偽の報告など大きく20種類ほどあります。中には、大切なパスポートや在留カードを預かって保管することを好意としておこなう企業も存在しますが、それは「旅券・在留カードの取上げ」行為にあたってしまいます。企業としては、うっかりと不正行為をしてしまわないよう、事前に把握しておく姿勢が必要です。

労働環境の改善

技能実習生が直面する過酷な労働環境は、もはや看過できない社会問題です。厚生労働省の調査でも、安全基準の不遵守、割増賃金の未払い、長時間労働などが問題として指摘されています。

コンビニエンスストアでの総菜加工作業に従事した技能実習生は、重量のある食材運搬や手首に負担のかかる大量の手作業などの過重労働により身体を損傷し、労災認定を受けるまでに長い時間を要しました。また、弁当工場では、劣悪な労働環境と生活環境に耐えかね、失踪に追い込まれるケースも報告されています。

これらの背景には、事業者の法令遵守意識の欠如や、技能実習制度に対する誤った認識などが挙げられます。また、実習生の多くは、日本語能力に不安を抱え、労働条件に関する知識も不足しているため、不当な扱いを受けていても声を上げにくいという現状があります。

技能実習生を安価な労働力などと捉えてしまっては、労働環境の改善への意識も持てません。企業としては、国籍にかかわらず従業員が働きやすい労働環境を提供する姿勢が必要です。

技能実習生を職場に定着させるための方法


最後に、技能実習生の定着率を上げるポイントについて解説します。

日本人労働者と同様の待遇にする

技能実習生の定着率向上には、日本人労働者との待遇の平等化が不可欠です。賃金、労働時間、休日、福利厚生など、あらゆる面で日本人と同様の待遇を与えることで、技能実習生のモチベーション向上と定着率の向上につながります。また日本人と同じように評価され、報酬を得ることで、技能実習生たちは働きがいを感じ、企業への帰属意識を高めることもできます。
ただし、技能実習生が日本人よりも低賃金で長時間労働を強いられるケースも多く、結果として定着率が低いという課題を抱えている企業が多いのも現状です。
企業は、技能実習生の定着が、企業にとって大きなメリットをもたらすことを認識して対策を練る必要があります。例えば、技能実習生の知識や技術は、企業の生産性向上に貢献し、人材不足問題の解決につながります。また、外国人労働者に対する平等な扱いは、企業の社会的責任を果たすことにつながり、企業イメージの向上にも貢献するでしょう。

教育制度の構築

技能実習生の教育制度には、いくつかの課題が指摘されています。実習内容が実際の仕事に結びついていないケースや、日本語教育が不足しているケースなどが挙げられます。これらの課題を解決するためには、実習内容を仕事に密着させ、日本語教育を充実させるなどといった対策が必要です。
また、日本文化や慣習に対する理解を深めるための教育も不可欠です。異なる文化を持つ人々が円滑にコミュニケーションを取り、協力し合うためには、お互いを尊重し、理解し合う姿勢が求められます。そのため、実習生に対して、日本の社会や企業文化に関する教育をおこない、異文化理解を深めるための取り組みを強化する必要があります。
さらに、教育効果を最大限に引き出すためには、実習生の学習スタイルや理解度に合わせて、多様な教育方法を組み合わせることが重要です。OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)やe-ラーニングなどを効果的に活用することで、実習生の学習意欲を高め、より効果的な学習を促せます。
技能実習生の教育制度は、実習生たちが日本の職場にスムーズに適応し、高い生産性を発揮することにつながります。企業にとって、人材育成の効率化と定着率の向上につながる重要な対策となりうるでしょう。

まとめ

今回は、技能実習生の問題について、現状や原因、解決策までさまざまな角度から解説しました。技能実習制度は、日本と開発途上国双方にとってメリットがありますが、低賃金や長時間労働など、技能実習生の人権侵害につながる問題が指摘されています。企業は、法令を守り、残業代を払うなど、適正な賃金を支払い、日本人労働者と同様の待遇にすることが必要です。また、コミュニケーションを密にして、働きやすい環境を作ることも求められます。技能実習生の定着は、企業の生産性向上につながるため、制度改善には、関係者全員の協力が不可欠です。

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