コラム

外国人労働者の出身国はどこが多い?日本の外国人労働者は過去最多|日本が選ばれる理由について

特定技能

2024/8/30
2024/9/10

深刻な人手不足により、現在日本では外国人労働者の受け入れが加速しています。受け入れ事業所も大幅に増加していて、令和5年度は、318,775所と過去最多の数値となりました。

人手の確保に向けて、外国人労働者の受け入れを検討しているかもしれません。

この記事では、日本で働く外国人労働者数の現状や、出身国として多い国などをまとめました。受け入れを検討する際の基礎的な情報となるため、参考にしてください。

外国人労働者 日本の現状


現在、日本では外国人労働者の数が年々増加傾向です。この背景には労働人口の減少や高齢化などの日本国内の事情が影響しており、多くの企業が外国人労働者を受け入れることで労働力を補っています。

外国人労働者の状況を見ると、その多くが特定のビザや技能実習制度を利用して日本に滞在し、働いています。

特に製造業やサービス業、介護業界において需要が高く、これらの分野で活躍している傾向です。これにより、日本の経済や社会において外国人労働者の存在は非常に重要なものとなっています。

外国人労働者数の急増

日本で就労する外国人労働者は、この10年で2.6倍も増加しており、急増していると言えます。

過去10年間の推移は、次のとおりです。

年度 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 令和元年 令和2年 令和3年 令和4年 令和5年
外国人労働者数 787,627人 907,896人 1,083,769人 1,278,670人 1,460,463 人 1,658,804 人 1,724,328 人 1,727,221 人 1,822,725 人 2,048,675 人
前年比 △120,269人(15.3%) △175,873人(19.4%) △194,901人(18.0%) △181,793 人(14.2%) △198,341 人(13.6%) △65,524 人(4.0%) △2,893 人(0.2%) △95,504 人(5.5%) △225,950 人(12.4%)

(※厚生労働省が毎年10月に発表している、各年の「外国人雇用状況」の届出状況」を参考に数値を抽出しました。)
(※△:増加)
令和4年から令和5年に至っては、22万人以上増加しています。これは過去最多の数値です。

ちなみに令和5年時点の日本の労働者数は、60,747,000 人のため、0.3割を外国人労働者が占めていることになります。

(出典元:厚生労働省「外国人雇用状況」の届け出状況」)
(出典元:総務省「労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果の要約」)

主要な労働者の出身国

主要な外国人労働者の出身国は、次のとおりです。

・ベトナム
・中国
・フィリピン
・ネパール
・ブラジル
・インドネシア
・韓国
・ミャンマー
・タイ
・ペルー

日本と比較して給与水準が低い国という特徴があります。自国で働くよりも高い収入を得られることに魅力を感じ、日本で労働していることが考えられます。

国別の外国人労働者数ランキング


(出典元:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】」)

日本で働く外国人労働者には、前述のとおり、さまざまな国籍の人がいます。
厚生労働省が公表する、令和5年度の『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』を参考に、日本で働く外国人労働者の国別ランキングを一覧化しました。

それぞれの国別に、労働者数や増加率、取得している在留資格などを解説します。

ベトナム

労働者数 前年度 全体を占める割合
518,364人 462,384 人 25.3%

現状日本で働く外国人労働者は、ベトナム人が最も多いです。割合として、外国人労働者の4分の1は、ベトナム人になります。
2019年まで、日本で働く外国人労働者は、中国人が多い状況でした。2020年にベトナム人は中国人を上回り、その後も首位が続いています。

特定技能・技能実習が中心

ベトナム人労働者は、次の在留資格で就労するケースが多いです。

特定技能 特定技能実習
110,628人 209,305人

特定技能外国人の国別内訳を見ても、ベトナム人が群を抜いて多い状況です。

(出典元:出入国在留管理庁「特定技能外国人」)

これには、2019年に、ベトナムと日本で特定技能の二国間協定が締結されたことが関係しているでしょう。二国間協定が締結されたことで、ベトナム側での手続きと日本での手続きが円滑に行われるようになり、人材を受け入れやすくなりました。

ベトナム人を受け入れる際、日本とベトナムどちらでも煩雑な手続きや書類の提出を行う必要があります。国ごとに様式と必須項目が異なるため、両者間で必要項目を満たしていないことが多々あったようです。
二国間協定により、お互いに必要事項を満たせる手続きに統一されたため、受け入れが非常にスムーズになりました。

他にも、二国間協定によって労働者の保護も実施され、ベトナム人が日本で就労しやすくなったことも関係しています。

中国

労働者数 前年度 全体を占める割合
397,918人 385,848人 19.4%

ベトナム人に次いで、中国籍の外国人労働者も多いです。2010年代に中国は、日本を抜いて経済大国になったことから、意外だと思われるかもしれません。
経済大国となってからも、日本で働く中国人労働者の数は、年々増え続けています。

これには、中国の以下の状況が関係しているでしょう。

■経済格差がある■

・中国は経済格差があり、所得上位1%の人たちが下位50%の全体より多くの資産を保有している状況
・5,000元(約8万円)以下の月収で働く人々が8割以上を占めている

■独自の戸籍制度■

・国民を都市と農村に分ける独自の戸籍制度がある
・農村戸籍が国民の5割以上を占め、賃金の高い都市に出稼ぎに行く状況
・農村戸籍の者は、都市への出稼ぎで建設現場や製造工場などブルーカラーのきつい仕事に就く

■学歴至上主義■

・日本と同等の給与水準で働いてるのは、大都市の外資系や現地中堅企業、国有企業の管理職などのごく一部のみ
・上記の職へ就くには、一流大学(重点大学)を卒業しなくてはならない
・中国内の大学受験者数は、日本は55万人程度のところ、1000万人を超える。一流大学への入学は難易度が高い

これらの要素から、給与水準の高い日本で働くことを望む傾向があります。

技術・人文・国際業務ビザが多い

中国人労働者は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」にて就労しているケースが多いでしょう。数にしてみると、113,016人です。

「技術・人文・国際業務」保有者の全体数を見てみると、3分の1が中国人であるとわかります。

「技術・人文・国際業務」保有者の全体数 中国人の「技術・人文・国際業務」保有者
346,116名 113,016人

「技術・人文知識・国際業務」は、海外の「ワーキングビザ」に相当しています。通称で「技人国(ギジンコク)」ビザと呼ばれます。

特定技能のように、人手不足の解消を目的とした在留資格ではありません。外国人が保有している専門的な知見や技術を、職場で活かし、日本へ還元することが目的とされています。

例として次の業務が挙げられます。

■技術■

機械工学の技術者
システムエンジニア
プログラマー
情報セキュリティーの技術者 等

■人文知識■

企画開発
営業
経理人事
法務
総務
コンサルティング
広報
マーケティング 等

■国際業務■

通訳翻訳
語学学校の教師
貿易関係 等

フィリピン

労働者数 前年度 全体を占める割合
226,846人 206,050人 11.1%

日本で働く外国人労働者のうち、3番目に多いのは、フィリピン人です。

フィリピンでも次の理由から、外国で働く人が多い状況です。

■貧困■

・1日100円程度で暮らさなくてはならない国民が2割いる

■国内に仕事がない■

・近隣国と比較して、海外からの製造業への直接投資流入が少ない
・そのため仕事自体がない

■海外で働く文化がある■

・国内に仕事がないことから国民の10人に1人に当たる約1,000万人が海外に居住している
・英語が公用語であり、英語力が高い。東南アジアではシンガポールに次ぐ2位の英語力

■教育機関の整備が進む■

・年々教育機関の整備が進み、優秀な人材が増えている
・スキルを活かし海外で稼ぐフィリピン人が増加

これらの状況から、自国と比較して給与水準が高く、仕事がたくさんある日本を選択して労働していると考えられます。

永住権・定住者が多い

フィリピン人の労働者は、以下のような身分に基づく在留資格を取得しているケースが多いです。

日本人の配偶者等 永住者の配偶者等 永住者 定住者
20,807人 3,672人 88,082人 37,414人

就労を目的とした在留資格ではなく、結婚など長年日本に滞在するための在留資格という特徴があります。これには、フィリピンにおいて、海外で働いたり、海外で暮らしたりする文化の定着が、関係しているでしょう。

実際に、国外在住のフィリピン人のうち、5割が海外の永住権を取得しています。

永住権 一時的な就労での滞在 非正規の身分のまま国外に滞在
5割 4割 1割

(出典元:アジア・日本研究所 細田尚美(長崎大学多文化社会学部 准教授)「《総説》労働移民大国としてのフィリピン」)

その他の国

現状、ベトナム人、中国人、フィリピン人がトップを誇っていますが、対前年増加率では、他国の方が高い傾向です。

令和5年度に増加率が上昇したのは、インドネシア人、ミャンマー人、ネパール人でした。具体的な数値は次のとおりです。

前年比 増加率
インドネシア人 43,618人増加 49.9%
ミャンマー人 23,690人増加 56.0%
ネパール人 27,391人増加 23.2%

これら3カ国出身の外国人労働者数と、増加している背景を解説します。

(出典元:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況」)

インドネシア

インドネシア国籍の外国人労働者数は、次のとおりです。

労働者数 前年度 全体を占める割合
121,507人 77,889 人 5.9%

インドネシア人が日本での労働を求める背景には、他国と同様に自分の国よりも高い給与水準であることが挙げられます。しかし理由はこれだけではありません。

実際、海外で働くインドネシア人の行き先で一番多いのは、サウジアラビアや、ドイツ、ポーランドであり、日本よりも給与水準が高い国です。

インドネシア人が増加する背景には、日本での採用ニーズの拡大があります。2019年4月から『特定技能』という人手不足の解消を目的とした新たな在留資格も誕生するほど、日本の人手不足は深刻化しています。
さらに就労に慣れているベトナム人や中国人の採用競争は、激化している状況です。そこで、日本人と親和性の高いインド人ネシア人が着目され受け入れが加速しました。

(出典元:独立行政法人労働政策研究・研修機構法「2019年、移民労働者は世界に1億6900万人」)

ミャンマー

ミャンマー国籍の外国人労働者数は、次のとおりです。

労働者数 前年度 全体を占める割合
71,188人 47,498人 3.5%

日本で働くミャンマー人が増えている背景は、2021年に起きたクーデターの影響により、ミャンマーでの働き口が少なくなったことが挙げられます。新型コロナウイルスの影響もあり、ミャンマーでの失業者率は一時期200万人を超えて、国外に仕事を求める動きが高まりました。

また、次の理由から日本での就労を望むミャンマー人が多いです。
・ミャンマーよりも給与水準が高い
・ミャンマーの公用語であるビルマ語と日本語の文法が似ていて日本語を習得しやすい

これらの背景があり、ミャンマー人の労働者も日本では増加傾向です。

ネパール

ネパール国籍の外国人労働者数は、次のとおりです。

労働者数 前年度 全体を占める割合
145,587人 118,196 人 7.1%

ネパールはもともと国外での労働が盛んに行われています。国民約3,000万人のうち約600万人以上となる、国民の5分の1が国外で就労しているほどです。
これには、経済成長できる産業が整っておらず賃金も安いことが関係しています。

ちなみに、ネパール人が就労先として選ぶ国で多いものは、以下画像のとおりです。

(出典元:2024年3月在ネパール日本国大使館「図説 ネパール経済2024」)
インドとネパール間の国境は通行自由です。そのため、画像には、出稼ぎ国として最も多いとされるインドは含まれていません。

これを踏まえると日本は10位となります。日本が出稼ぎ先として選ばれ始めている理由には、治安の安全性が注目されているためです。出稼ぎ国にランクインしているカタール、サウジアラビア、UAE、クウェートなどでは、事故や虐待などが多いことが問題視されているようです。

外国人労働者が日本を選ぶ理由


外国人労働者が、出稼ぎ先に日本を選ぶ理由をまとめました。

高収入を得やすい

前述しているとおり、外国人労働者の出身国よりも日本の給与水準が高いため、選ばれている傾向があります。

出身国として最も多い、ベトナムの年収と日本の年収を比較してみましょう。

ベトナムの平均年収 日本で働く外国人労働者の平均年収
48万円 223万1,000円

その差は4.6倍です。自国で働くよりも稼げることから、選ばれています。
給与水準が低い理由として、経済成長できるような主要な産業が少ないことが挙げられます。低賃金の仕事しかなかったり、仕事自体がなかったりする国も多いです。

日本は、人手不足が深刻化しているほど、仕事に溢れており、かつ給与水準も高いため選ばれています。

(出典元:厚生労働省「在留資格区分別にみた一般労働者の賃金」)

治安の良さ

日本の治安の良さも選ばれるポイントの一つです。外国によっては、以下のような環境で暮らさなくてはならない場合があります。

・夜道を歩いていると襲われる
・詐欺などが日常的に行われる
・強盗、窃盗に遭うリスクが高い

身の危険を感じることなく、安全に暮らせるのは、大きな魅力でしょう。

労働環境の良さ

労働環境の良さも外国人から選ばれる理由です。
なぜなら、特定技能外国人や技能実習生でも国籍問わず日本人と同じ労働基準法が適応されるためです。
労働時間は、日本人と同様になります。また賃金においても、日本人と同様に能力が評価されたうえで決定されます。

その他、外国人労働者に対し、政府の支援が充実しているため、健全な労働環境が構築されています。
・外国人の就労支援
・外国人へ安定雇用の確保
・外国人指針に基づく雇用管理改善指導
・外国人雇用状況届出制度の厳格な履行
・専門的・技術的分野の外国人の就業促進対策
など

他国の中には、以下のように過酷な環境で労働させられる場合もあるでしょう。
・タダ働きさせられる
・職場で外国人労働者に対し虐待がある
・過酷な環境で長時間労働させられる

国全体で外国人労働者が安全に働ける環境を整えていないケースも多いです。

安全で働きやすい環境を魅力に感じ、日本での就労を望んでいます。

日本の外国人労働者数の増加要因


日本国内で、外国人労働者が急激に増加している背景を解説します。

二国間協定

特定技能の二国間協定の締結が進んでいることも、外国人労働者の増加要因です。
二国間協定では、特定技能で労働する外国人を、適切に送り出したり受け入れたりするためのルールが定められています。

両国には以下の点でメリットがあるため、外国人労働者が日本で働きやすくなります。
■日本■

資料作成などにおけるルールが明確化され、煩雑な手続きがなくなりスムーズに受け入れられるようになった

■外国■

資料作成などにおけるルールが明確化され、煩雑な手続きがなくなりスムーズに受け入れられるようになった
政府が母国の人材を保護・管理しやすくなった

特定技能外国人を受け入れる際、両国間でさまざまな資料を作成し提出を求められます。これまで資料の様式や必須項目がルールかされておらず、お互いに不足事項が発生していました。
それにより、送り出しと受け入れの手続きは非常に煩雑で手間のかかる作業でした。

資料作成などのルールが明確化されたことで、送り出しやすく、受け入れやすい環境となったのが、外国人労働者が増加した背景です。

他にも二国間協定により、外国政府が母国の人材を管理、保護しやすくなったことは、とって大きなメリットと言えます。

特定技能の創設前には、技能実習制度によって外国人労働者が受け入れられていました。当時、労働環境における制度が確立されておらず、野放し状態が問題視されていました。悪質な斡旋業者による搾取や、過酷な労働や賃金の未払いなども存在していた状況です。

二国間協定により、日本で安心して働けるようになったことは、外国人労働者が増加した要因といえるでしょう。

日本の技術力への関心

日本の技術力は世界でもトップクラスです。自動車の運転技術やナノテクノロジーなどは海外からも注目を集めています。

そこで、「日本の技術力を学びたい」と考え、就労する外国人労働者も多いです。
日本の技術はどんどん進化しているため、それに伴い日本の技術へ憧れを抱く外国人が増えています。

経済的な要因

新型コロナウイルスの影響により、東南アジアの各国の経済は、大きく下押しされて、マイナス成長となりました。職を失った人が多く、海外へ仕事を求める動きが加速しています。

日本では、以下の業界で人手不足が深刻化していて、外国人労働者を受け入れる事例が多く見られています。これは、日本に来れば、何かしらの職種で仕事がある状況だといえるでしょう。

・建設業
・運輸業・郵便業
・医療・介護福祉
・情報通信業
・学術研究,専門・技術サービス業
・宿泊業・飲食サービス業
・生活関連サービス業・娯楽

この経済的な要因も、外国人労働者が増加している背景だといえます。

まとめ


人手不足により、日本では東南アジア国籍の者を中心に、外国人労働者数が年々増加していることがわかりました。10年前と比較をすると、2.6倍となり、さまざまな業界で受け入れが進んでいます。

ただし、はじめて外国人労働者を受け入れる時には、採用活動から書類の締結、受け入れて実際に働いてもらうまでのフロー、教育など、ありとあらゆる工程で不安がつきまとうものです。

@カイゴでは、人手不足が特に深刻化している介護福祉業界への外国人労働者の採用をサポートしています。貴社専任の担当者が現状の悩みを丁寧にヒアリングし、最適な人材を探します。採用業務から就職後の管理まで一気通貫して対応可能です。

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