コラム
【2024最新】ミャンマー人受け入れの流れ|在留資格の特定技能の概要と注意点を解説
特定技能
近年、日本では労働力不足の解消を目的として、外国人労働者の受け入れが一層拡大しています。そのなかでも注目されているのが特定技能制度です。これは、一定の技能や知識を持つ外国人に対し、日本国内での就労を許可する制度で、農業、建設、介護など14の分野での人材確保を目的としています。この制度の利用者として、ミャンマーからの労働者も増加しており、日本とミャンマーの間での労働交流が活発化しています。受け入れ企業は、労働者のサポート体制を整えることや、快適な労働環境を提供することが課題となります。
この記事では、ミャンマー人受け入れの具体的な流れと、特定技能ビザの概要、そして受け入れ企業が注意すべきポイントについて解説します。
日本で在留資格を取得しているミャンマー人
日本国内に在留資格を取得しているミャンマー人の数は、年々増加しています。経済発展とともに多様化する日本の労働市場では、外国人労働者の受け入れが進み、ミャンマー人はその一部を担っています。彼らは日本でさまざまな在留資格で滞在しており、その目的や状況に応じたビザを取得しています。技術・人文知識・国際業務や技能実習、そして特定技能といったビザが、一般的な選択肢です。
それでは、特定技能をはじめとするそれぞれのビザについて詳しく見ていきましょう。
技能実習ビザ
技能実習ビザを取得するミャンマー人は多く、主に農業や製造業、建設業などの現場で働いています。技能実習制度は、発展途上国の人材に対して技術を提供することを目的としていますが、実際には日本国内の労働力不足を補う役割も果たしています。ミャンマーから来る技能実習生は、特に農業分野や水産加工業などの産業で重要な労働力となっており、日本各地の地域経済に貢献しています。
特定技能ビザ
最近注目されているのが、特定技能ビザです。特定技能制度は、技能実習制度よりも長期間の就労が可能で、14の産業分野にわたって日本国内での労働が認められています。特定技能ビザを取得するミャンマー人は、特に介護や建設分野での需要が高まっており、必要な技術や日本語能力を証明した上で、これらの分野で働くことができます。このビザは、技能実習とは異なり、一定の条件を満たせば家族の帯同も可能です。
技術・人文知識・国際業務のビザ
技術・人文知識・国際業務のビザを持つミャンマー人は、日本企業で専門的な職務を遂行するために滞在しており、エンジニア、通訳、貿易業務などの分野で活躍しています。これらのビザは通常、大学や専門学校などの学歴を持つ人々に発行され、労働市場での即戦力となることが期待されます。
また、留学を目的として来日するミャンマー人も少なくありません。彼らは日本の大学や専門学校に通いながら、アルバイトで経験を積み、卒業後に正社員としての道を模索するケースが多いです。これにより、留学ビザから他の就労ビザに移行することも可能であり、将来的に日本に長期的に滞在する道を開くことができます。
ミャンマー人は日本においてさまざまな在留資格を取得し、経済活動や学術活動に積極的に関わっています。彼らの存在は、日本の多文化共生の一環としても重要な役割を果たしており、今後ますますその存在感が高まることが予想されます。
特定技能ミャンマー人採用のメリット
特定技能ビザを活用してミャンマー人を採用することは、日本企業にとって大きなメリットがあります。特に、深刻な労働力不足に直面している産業では、必要なスキルを持った外国人労働者を効率的に採用できる点が魅力です。
それでは、特定技能ミャンマー人採用のメリットを挙げていきます。
就労に対する意欲・意識が高い
ミャンマー人は、就労に対する意欲や意識が非常に高いです。彼らは自国での経済的な発展が遅れている背景もあり、海外での就労を通じて家族を支えたり、自身のスキルを高めたりすることに強いモチベーションを持っています。特に、日本に来るミャンマー人は、文化的な共通点や価値観に適応しやすく、真面目で勤勉な姿勢が評価されています。
また、ミャンマーでは家族や地域社会との絆が強く、海外で得た収入を故郷に送金することが一般的です。そのため、就労に対する責任感が強く、与えられた仕事に対して誠実に取り組む姿勢が見られます。日本語の習得や専門技術の向上にも積極的であり、職場での成長を目指して努力する姿勢は企業にとって大きなメリットです。
親日家であり、日本語レベルが高い
ミャンマー人は、親日家としての側面を持ち、日本文化や日本人に対して好意的な感情を抱いている人が多くいます。これは、ミャンマーと日本の間に長い友好関係が築かれてきたことが背景にあり、経済的・文化的な交流が進む中で、ミャンマー人にとって日本は憧れの国のひとつとなっています。特に、戦後の日本の復興や経済成長に対する尊敬の念が強く、勤勉さや規律、協調性といった日本の価値観に共感する人が多いです。
さらに、ミャンマー人のなかには日本語を高いレベルで習得している人も多くいます。日本語には尊敬語や丁寧語があり、ビジネスの場で多く使われます。ミャンマー語には、尊敬語や丁寧語はないため、理解するには苦労するでしょう。しかし、日本での就労を目指す人々は、事前に日本語を学び、日本語能力試験に合格することが求められる場合が多いため、一定の語学力を持って来日するケースがほとんどです。また、来日後も日本語の上達に努め、日常業務において円滑なコミュニケーションを図るための努力を惜しみません。
彼らの高い日本語能力と親日的な姿勢は、企業にとって大きなメリットとなり、職場での円滑な業務進行やチームワークの向上に寄与してくれるでしょう。
介護職の希望者が多い
ミャンマーからの労働者のなかでも、介護職を希望する人が多いこともメリットです。日本では少子高齢化が進み、介護業界は慢性的な人手不足に悩まされています。こうした背景から、日本の介護分野での就労を目指すミャンマー人は、特定技能ビザや技能実習制度を活用し、来日するケースが増加しています。
ミャンマー人が介護職を希望する理由の一つとして、家族を大切にする文化があります。ミャンマーでは、家族同士が強い絆で結ばれており、高齢者を尊重し支えることが重要な役割とされています。この価値観は、日本の介護業界においても高く評価されており、彼らは思いやりのあるケアが期待されています。また、介護職は他の分野に比べて安定した雇用機会があり、長期的に日本での生活基盤を築くことができる点も、ミャンマー人にとって魅力的な要素です。
現地で介護の基礎知識や日本語を学び、必要な資格を取得してから来日しています。そのため、彼らは日本の介護施設で即戦力として働くことができ、介護現場での大きな支えとなっているのです。
平均年齢が低い
ミャンマーから日本に来る労働者は、平均年齢が低いです。2023年、ミャンマーの人口は5,797万人で平均年齢は28.98歳と、日本の48.36歳に比べると格段に若く、特定技能ビザや技能実習制度を利用して来日するミャンマー人の多くは、20代から30代前半の若者が中心となっています。この若い世代の労働者は、体力的に優れ、学習意欲が高く、迅速に日本の職場文化や技術を習得することができるため、企業にとっては非常に価値のある存在です。
日本では、特に製造業や建設業、介護業界などの現場で若い労働力が求められていますが、国内の少子高齢化に伴い、若者の数が減少しています。そのため、ミャンマー人のような若い外国人労働者は、日本の労働市場における重要な労働力として期待されています。
さらに、若い労働者は新しい環境に柔軟に適応しやすく、長期間にわたって就労できる可能性が高いため、安定した人材の確保に繋がります。
特定技能ミャンマー人の採用ルートや手続きの流れ
ミャンマー人を採用するには、事前に適切なルートや流れを理解しておくことが重要です。
それでは、特定技能ミャンマー人労働者を採用するための具体的なルートや手続きの流れについて詳しく挙げていきます。
ミャンマーから来日する場合
はじめに、日本企業が人手不足の分野で特定技能外国人を募集します。企業はミャンマーの求職者を対象に直接採用するか、現地の人材紹介エージェントを通じて人材を探します。ミャンマー国内には、特定技能ビザに特化した人材紹介サービスや労働者支援機関があり、企業はそれらを活用して適切な人材を見つけます。
求人票の承認【ミャンマー側の手続】
求人票の承認は、特定技能ビザを取得する外国人労働者が日本で働くための最初の手続きです。企業が求人票を提出する際、職務内容、労働条件、給与などが法律や規定に適合していることを確認する必要があります。具体的には、適正な労働条件が提供されているか、外国人労働者に対して不当な条件がないかを審査します。求人票は、外部の認定機関や行政機関により審査され、必要な基準を満たしていると判断されれば承認され、この求人票に基づいてビザ申請が進められます。求人票の承認は、外国人労働者が日本での就労を開始するための重要な一歩です。
在留資格認定証明書の交付申請【日本側の手続】
在留資格認定証明書の交付申請における日本側の手続きは、外国人労働者が日本での就労を開始するために重要な手続きです。まず、企業は日本の入国管理局に対して、外国人労働者の在留資格認定証明書の交付を申請します。申請には、以下の書類が必要です。
- 雇用契約書
- 技能試験および日本語能力試験の合格証明書
- 企業の情報
- 在留資格認定証明書交付申請書
- パスポート
申請書類を提出後、入国管理局が審査を行い、条件を満たしていればCOEが発行されます。COEの発行により、外国人労働者はビザ申請を進めることができます。
海外労働身分証明カード(OWIC:Overseas Worker Identification Card)の申請【ミャンマー側の手続】
海外労働身分証明カードの申請は、ミャンマーから海外に出稼ぎに行く労働者が必要な手続きです。このカードは、労働者の身分を確認し、適正な労働条件を保証するための重要な証明書となります。ミャンマー側での申請手続きは以下の通りです。
1. 申請準備
労働者は、OWICの申請に先立ち、以下の書類を準備します。
・パスポート
・雇用契約書
・所定のサイズの証明写真
・日本語能力試験合格証明書
・技能試験合格証明書
2. 申請書の提出
準備が整ったら、ミャンマーの労働・移住省や関連機関でOWICの申請書を提出します。この申請書には、基本情報や雇用先、申請者の資格などが記載されています。
3. 審査と発行
申請書が提出されると、ミャンマーの関連機関が書類審査をおこないます。審査では、提出された書類が正確であるか、必要な資格や条件が満たされているかが確認されます。審査が通ると、OWICが発行されます。
4. OWICの受領
OWICが発行されると、申請者はミャンマーの労働・移住省または指定機関でカードを受け取ります。このカードは、海外での就労中に必要となる重要な身分証明書であり、ミャンマー政府によって発行されるものです。
5. 渡航準備
OWICを受け取った後、労働者は日本への渡航準備を進めます。OWICを持つことで、日本での入国手続きや現地での就労、滞在が円滑に進められるようになります。
査証発給申請【日本側の手続】
査証発給申請は、日本に入国するために必要なビザを取得するための手続きです。申請者は、在留資格認定証明書(COE)を受け取った後、自国の日本大使館または領事館でビザ申請をおこないます。必要書類には、COE、パスポート、ビザ申請書、写真などが含まれます。大使館や領事館で審査がおこなわれ、適切な書類が揃っていると判断されれば、査証が発給されます。査証の発給後、申請者は日本への渡航が許可されます。
特定技能外国人として入国・在留【日本側の手続】
特定技能外国人として日本に入国し、在留するために特定技能ビザが発給された後、入国時に空港で入国審査を受けます。入国審査では、ビザ、在留資格認定証明書(COE)、パスポートなどの必要書類を提示して入国が許可されると、特定技能外国人として日本での在留が開始されます。在留中は、定期的な在留カードの更新や、就労先の変更、住所変更などが求められる場合があるので注意しましょう。これにより、法的に適切な在留が認められます。
日本にいる場合
ミャンマー国籍の人で日本に在留している人を雇用するには、以下のステップを踏む必要があります。
雇用契約の締結
まず、日本の企業はミャンマー国籍の候補者と雇用契約を締結します。契約内容には、職務内容、労働条件、給与などが含まれ、労働基準法に基づく適切な条件が設定されている必要があります。
在留資格の確認
既に日本に在留しているミャンマー人がいる場合、その人の在留資格が雇用予定の職種に適しているか確認します。特定技能ビザ、技術・人文知識・国際業務ビザなど、適切な在留資格が必要です。必要に応じて、在留資格の変更申請をおこなうことがあります。
必要書類の準備
雇用契約を締結後、以下の書類を準備します。
- 雇用契約書
- 在留資格認定証明書(新たにビザを申請する場合に必要)
- 履歴書・職務経歴書
- パスポート
在留資格変更申請(必要な場合)
在留資格が現在の職務に合わない場合、在留資格の変更申請をおこないます。この申請には、必要な書類とともに、変更理由や新たな職務内容の詳細を提供します。申請は、入国管理局または在留資格の変更を担当する機関に提出します。
労働契約の履行
在留資格が確認され必要な手続きが整った後、労働契約を履行します。労働者の入社手続き、社会保険の加入、労働条件の周知など必要な手続きが適切におこなわれることを確認します。
定期的な確認と更新
労働者の在留資格や契約内容に変更があった場合、速やかに対応することが必要です。また、在留カードの更新や在留資格の条件に関する変更があった場合も、適切に手続きをおこないます。
受け入れにかかる費用
ミャンマー国籍の外国人を日本で受け入れるには、さまざまなものに費用がかかってきます。職種や勤務形態により違いますが、主な費用項目とその詳細を説明していきます。
ビザ申請関連費用
企業が、特定技能ビザなどの在留資格認定証明書を申請する際、申請手数料が発生します。手数料は数千円程度ですが、申請に必要な書類の準備や申請書類の提出に伴う実務的なコストも含まれることがあります。それに加えて、在留資格認定証明書を取得後、ビザを申請する際にも費用がかかります。日本大使館や領事館でのビザ申請には、通常数千円から数万円の手数料が設定されています。これにはビザの種類や発給の迅速さによって異なる場合があります。
書類作成・翻訳費用
ビザ申請や在留資格認定証明書の申請には、雇用契約書やその他の必要書類の作成が必要です。外国語での書類が必要な場合は、翻訳費用が発生します。翻訳費用は書類の量や専門性に応じて異なり、10万円~20万円程度になることもあります。
健康診断・証明書取得費用
外国人労働者が日本に入国する際には、健康診断や証明書の提出が求められることがあります。これには、医療機関での診察費用や証明書の発行費用が含まれます。健康診断の費用は数千円~数万円程度です。
渡航費用
外国人労働者の渡航費用も企業側で負担することが一般的です。航空券の購入費用は、出発地や時期によって異なりますが、数十万円程度かかることがあります。また、渡航に伴う宿泊費や交通費も含まれる場合があります。
入国後の生活サポート費用
入国後、外国人労働者の生活をサポートするために費用がかかります。これには、住居の手配や引っ越し費用、生活用品の購入、初期の生活費などが含まれます。住居の手配には仲介手数料や保証金がかかることがあります。
法律・手続き関連費用
労働者が在留中に法的手続きや問題が発生した場合、弁護士やコンサルタントへの相談費用がかかることがあります。これには、在留資格の変更や更新手続き、労働問題の相談などが含まれます。
トレーニング・研修費用
外国人労働者が日本の職場に適応するためのトレーニングや研修費用も考慮しておきましょう。これには、日本語の研修や職場でのオリエンテーション、業務に必要なスキルの習得に関する費用が含まれます。
その他の費用
その他にも、契約書の公証費用や行政手続きに関する雑費が発生することがあります。これらの費用は、契約の内容や手続きの複雑さによって異なります。
これらの費用は、企業が外国人労働者の受け入れに事前に予算を計画し、適切に対応することが重要です。費用の詳細は、各国の制度や手続きにより異なるため、具体的な条件や要件については、関連機関や専門家に確認することをお勧めします。
受け入れ時の注意点
ミャンマー人を受け入れるには、次のような注意点がいくつかあります。
言語による業務上のミスや安全性の問題
ミャンマー人労働者を雇用する際に、言語の問題が原因で業務上のミスや安全性に関わる問題が発生するリスクがあります。作業手順や安全に関する指示が正確に伝わらなければ、誤操作や事故が起きる可能性が高まり、企業や労働者双方にとって大きな損失や危険をともな伴います。
企業側は、コミュニケーションを円滑にするために、簡単な日本語を使用した指導や図解などを活用した分かりやすい指示を提供することが重要です。
在留資格の管理不足による法的トラブル
在留資格の管理不足による法的トラブルは、ミャンマー人労働者を受け入れる際の大きなリスクです。外国人労働者の在留資格には期限があり、更新手続きを怠ると不法滞在の状態になってしまう可能性があります。不法滞在が発覚すれば、労働者本人が強制退去などの処分を受けるだけでなく、受け入れ企業も罰則を受けます。加えて、企業の信用が損なわれ、他の外国人労働者を受け入れる際の手続きにも影響を及ぼす恐れがあるのです。
企業側は、労働者の在留資格の有効期限を適切に管理し、定期的な確認と更新手続きを確実におこないましょう。資格変更が必要な場合は、早めに対応することで法的トラブルを回避できます。
まとめ
ミャンマー人を労働者として受け入れるには、業種に沿った特定技能をはじめとするそれぞれのビザを保有しているか確認しなければなりません。
これらの点をしっかりと理解し、企業側が適切な対応を行いましょう。ミャンマー人労働者が日本で安心して働ける環境を整えることは企業にとっても、長期的な信頼関係の構築に繋がるでしょう。
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