コラム

日本語検定とは?日本語能力試験との違いやレベルについて徹底解説

外国人

2024/10/18
2024/10/18

「外国人労働者の日本語レベルはどれくらい?」と、企業が外国人労働者の採用基準の一つにしているのが日本語レベルです。日本語能力試験(JLPT)はN1~N5までレベルがあるため、日本語レベルを認定結果から確認することができます。この記事では、日本語能力試験の概要や日本語検定との違いをわかりやすく解説します。企業や自分に合うレベルを見つける参考にしてみてください。

日本語能力試験(JLPT)とは?

日本語能力試験(JLPT)は、日本語を母語としない人の日本語能力を測定し、認定することを目的としている試験です。試験内容は、「文字・語彙・文法の知識」「読む」「聞く」の3つから構成され、課題遂行のための言語コミュニケーション能力を評価します。また、日本語能力試験のレベルはN1〜N5の5段階で、N1が最も難しく、N5が最も易しいです。

日本語能力試験のレベル(Nレベル)

以下は、日本語能力試験のレベル(Nレベル)の段階ごとの説明になります。

レベル 構成と説明
N1
  • 幅広い場面で使われる日本語を理解することができる
  • 【読む】論理的にやや複雑な文章や抽象度の高い文章を読んで、理解できる
  • 【聞く】日本語を母語とする日本人にとって自然なスピードのニュースや講義を理解できる
N2
  • 日常的な場面の日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解できる
  • 【読む】新聞や雑誌の解説など、一般的な話題に関する記事や読み物を理解できる
  • 【聞く】日本語を母語とする日本人にとって自然なスピードのニュースや会話を聞いて、話の流れや要点を理解できる
N3
  • 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる
  • 【読む】日常的な話題の文章を理解でき、難易度の高い文章は、言い換えられれば要点を理解できる
  • 【聞く】日本語を母語とする日本人よりやや自然なスピードの会話をある程度理解できる
N4
  • 基本的な日本語を理解できる
  • 【読む】身近な話題の、基本的な漢字を使った文章を理解できる
  • 【聞く】ややゆっくりとしたスピードの会話であれば、内容がほぼ理解できる
N5
  • 基本的な日本語をある程度理解できる
  • 【読む】ひらがな・カタカナ・基本的な漢字を使った定型的な文章を理解できる
  • 【聞く】ゆっくりとした短い会話であれば、必要な情報を聞き取ることができる

(参考元:N1~N5:認定の目安 | 日本語能力試験 JLPT )

試験の時期と場所

例年、7月と12月の年2回実施されます。
試験会場は、国内全国47都道府県でおこない、直前に受験者に受験票で通知されます。
また、海外でも受験可能です。実施国・地域は以下になります。

実施地域 実施国
東アジア 日本/韓国/中国/モンゴル/台湾
東南アジア インドネシア/カンボジア/シンガポール/タイ/フィリピン/ブルネイ/ベトナム/マレーシア/ミャンマー/ラオス
南アジア インド/スリランカ/ネパール/パキスタン/バングラデシュ/ブータン/モルディブ
大洋州 オーストラリア/ニュージーランド/パプアニューギニア
北米 カナダ/アメリカ
中南米 コスタリカ/メキシコ/アルゼンチン/ウルグアイ/アクアドル・エルサルバドル

コロンビア・チリ・ドミニカ共和国・トリニダード/トバゴ/パラグアイ/ブラジル/ベネズエラ/ペルー/ボリビア

西欧 アイルランド/イタリア/イギリス/オランダ/ギリシャ/スイス/スウェーデン/スペイン/デンマーク/ドイツ/ノルウェー/フィンランド/フランス/ベルギー/ポルトガル
東欧 アゼルバイジャン/アルメニアウ/クライナ/カザフスタン/キルギス/ジョージア/スロベニア/セルビア/タジキスタン/チェコ/トルクメニスタン/ハンガリー/ブルガリア/ベラルーシ/ボスニア/ヘルツェゴビナ/モルドバ/ルーマニア/ロシア
中東 イスラエル/イラン/カタール/サウジアラビア/トルコ/ヨルダン
北アフリカ アルジェリア/エジプト/チュニジア/モロッコ
アフリカ ガーナ/ケニア/コートジボワール/コンゴ民主共和国/セネガル/ベナン/マダガスカル/南アフリカ

(参考元:海外の実施都市・実施機関一覧 | 日本語能力試験 JLPT )

日本語検定との違い

日本語検定との大きな違いは、試験の対象者です。日本語検定は、「日本語を使うすべての人が受験できる」のに対し、日本語能力試験は、「日本語を母語としない人」を対象としています。どちらも年齢や国籍による制限はありませんが、日本語能力試験は、子供の頃から日本語を使用している人は受験できません。
また、試験の目的も異なっており、日本語能力試験は、コミュニケーション能力を重要視した試験です。一方、日本語検定は日本語の総合能力をはかる試験になっています。

日本語検定とは?


日本語検定とは、日本語の総合能力をはかるテストで、日本語を使うすべての人が受験できる検定です。日本語検定のレベルは1級〜7級まであり、1級が最も難しく、7級が最も難易度が低いです。
また、検定の内容は、以下の6つの領域の習熟度をはかる問題と、読解問題などを含む総合問題を実施します。

  1. 漢字:漢字や熟語の読み方と意味を理解できる
  2. 表記:漢字、仮名遣い、送り仮名を文脈に合わせて正しく使用できる
  3. 敬語:尊敬語や謙譲語を適切に使い分けられる
  4. 言葉の意味:慣用句などの意味と用法を把握できる
  5. 語彙:さまざまな言葉の正しく理解し、使いこなせる
  6. 文法:規範的な文法にしたがい、語を正しく結びつけられる
  7. 総合問題:長文問題やグラフや表を使った読解問題など

(参照元:日本語検定とは? | 日本語検定-ビジネス,就活,学力アップ。日本語力を高める検定です。)

試験の時期と場所

例年、6月と11月の年2回実施されます。試験は、47都道府県の70以上の都市でおこなわれます。そのため、日本語検定を受験するには、日本国内にいなくてはいけません。

日本語検定のレベルや難易度

それでは、日本語検定のレベルや難易度について詳しく解説していきます。

日本語検定の各級レベル

日本語検定の各級の目安は、以下のとおりです。

目安
社会人上級 1級
大学卒業社会人中級 2級
高校卒業社会人基礎 4級
中学校卒業 5級
小学校卒業 6級
小学校4年生 7級
小学校2年生 8級

(参考元:受検概要・日程 | 日本語検定-ビジネス,就活,学力アップ。日本語力を高める検定です。)

認定基準について

得点率に応じて各級2種類認定があります。

認定

基準

1級 準1 2級 準2 3級 準3 4級 準4 5級 準5 6級 準6 7級 準7
総合

得点率

80%以上 70%以上 75%以上 65%以上 70%以上 60%以上 70%以上 60%以上 70%以上 60%以上 70%以上 60%以上 70%以上 60%以上
領域別
得点率
50%以上 領域なし

(参考元:受検概要・日程 | 日本語検定-ビジネス,就活,学力アップ。日本語力を高める検定です。)

日本語検定の難易度

難易度は、級によって異なり、1級・2級は難しい、3級は普通、4級〜7級は易しいレベルとなっています。
参考までに、近年の各級の認定率は以下の通りです。

1級 2級 3級 4級 5級 6級 7級
認定率 6.6% 19.9% 59.8% 87.7% 80.9% 82.5% 86.6%

※2024年6月時点
(参考元:検定データ|日本語検定-ビジネス,就活,学力アップ。日本語力を高める検定です。)

【例題あり】日本語検定にはどんな問題が出る?


では、各級の問題にチャレンジしてみましょう。

【1級】 領域:敬語

【 】のようなとき、それぞれの( )部分はどのような言い方をすればよいでしょうか。最も適切なものを選んで、番号で答えてください。
一、
【夫婦連名で贈り物を送ってきた知人への礼状で】
ご厚志誠にありがとうございます。ご( )にもくれぐれもよろしくお伝えくださいませ。
①令慈 ②令人 ③令閨 ④令堂
→正解は…③

【2級】 領域:文法

【 】に示した条件から考えて、( )に入る表現として無理なく成り立つものをそれぞれ二つ選び、番号で答えてください。
一、
【どこかいい社員旅行向きの宿がないかと友人に聞かれて】
宿を( )、〇〇温泉の△△ホテルがお薦めだよ。食事はおいしいし、値段も手頃だよ。
①取ると ②取るのだったら ③取ったら ④取るなら
→正解は…②、④

【3級】 領域:語彙

【 】に記されている二つの言葉の関係と同じ関係になる組み合わせを一つ選んで、それぞれ番号で答えてください。どちらの言葉が前で、どちらの言葉が後になっているかということにも注意してください。
一、
【会社-小社】
①銀行―弊行 ②学校―本校 ③貴宅―拙宅 ④佳作―粗品
→正解は…①

【4級】 領域:言葉の意味

一と二の―部分の「きつい」(形が変わっているものもあります。)と同じような意味で「きつい」を使っている文を①~⑤から一つ選んで、それぞれ番号で答えてください。一つの番号は一回しか使えないこととします。
一、
あの高校の野球部は、練習がとてもきついらしい。
二、
めずらしく母が、弟をかなりきつく叱っていた。
①父は最近太ってきたが、ベルトをきつくして、ウエストを細く見せている。
② 叔母の香水においがきつくて、私は正直言って苦手だ。
③今年就職した兄は、仕事がきついと言って、週末は寝てばかりいる。
④負けずぎらいなところはあるが、人に性格がきついと言われるのはいやだ。
⑤私たちの学校では、校内での携帯電話の使用はきつく禁じられている。
→正解は…一、③
二、⑤

【5級】 領域:表記

一、二の文には、使い方が正しくない漢字が一つずつあり、このままでは文の意味が通りません。その漢字一字の正しい書き方を、それぞれ答えてください。
一、
兄の友人は、ほとんどの人が大学進学や修職で県外に出ています。
二、
父の実家で、中学校の製服を着た父が写っている写真を見つけた。
→正解は…一、就
二、制

【6級】 領域:語彙

一は、【 】の中の言葉とにた意味の言葉を、二は、【 】の中の言葉と反対の意味の言葉を選んで、それぞれ番号で答えてください。
一、
【昼間】 ◎にた意味の言葉
①午後 ②正午 ③日中
二、
【退場】 ◎反対の意味の言葉
①欠場 ②来場 ③登場
→正解は…一、③
二、③

【7級】 領域:なし

つぎの漢字の画数はそれぞれ何画でしょうか。それぞれ番号で答えてください。
一、台
①四画 ②五画 ③六画
→正解は…②

(引用元:検定問題に挑戦!|日本語検定 )

日本語検定を受験する目的やメリットとは?

日本語力を証明したい方

ビジネスや学術の場面で、必要な深い理解力と高度なコミュニケーション能力を持っているかどうか評価できます。日本語検定を受けることで、日本社会における信頼性を獲得できます。

日本語能力を向上させたい方

日本語検定は、表現力・読解力・対話力の向上をはかることができます。
正しい日本語を知ることで、文章を深く読み解く力を養います。また、適切な言葉を選ぶことができれば、コミュニケーションが円滑になります。

大学入試を控えている方

大学の総合型選抜や推薦入学で優遇措置を得ることができます。
(例)総合型選抜(旧:AO入試)において、3級以上の資格を持っていると点数が加点される場合があります。

就職のための資格・スキルがほしい方

丁寧で正しい表現は、ビジネスの場面で好印象をもたらします。日本語検定認定者を優遇する企業も数多くあります。

まとめ

日本語能力検定は、日本語を母語としない方向けであるのに対し、日本語検定は日本語を使う人なら誰でも受験することが可能です。
日本語検定は、日本語の総合的な能力を測る検定であり、1級は日本人でも難しいと言われています。
日本語に自信がある方は、2級や3級を受験してみてもいいかもしれません。
また、日本語検定を勉強することで、日本語能力の向上にも繋がり、コミュニケーションにも自信が持てるようになるでしょう。

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