コラム
フィリピン人の特徴や性格は?基本情報と国内情勢についても詳しく解説!
フィリピン
少子高齢化が深刻化している日本では、フィリピン人の雇用を検討する企業がますます増えています。しかし、外国と日本では文化や環境が異なるため、フィリピンから技能実習生を受け入れるには、特徴や性格などを理解しておく必要があります。日本人との違いを事前に理解していないとトラブルの原因になりかねないからです。
本記事では、フィリピン人の特徴や性格、さらにフィリピンの基本情報と情勢を詳しく解説します。フィリピン人と接する際にやってはいけないことなども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
フィリピンの基本情報
面積 | 298,170平方キロメートル(日本の約8割) |
人口 | 1億903万5,343人 |
首都 | マニラ |
民族 | マレー系が主体(他、中国・スペイン系、及び少数民族) |
公用語 | タガログ語、英語 |
宗教 | キリスト教(83%がカトリック) |
平均寿命 | 男性67.4歳、女性73.6歳 |
識字率 | 96.3% |
主要産業 | サービス業、鉱工業、農林水産業 |
平均年収 | 23万ペソ(約59万3,400円) |
(参考元:外務省フィリピン基礎データ、JIIA日本国際問題研究所、2023年度 フィリピンの労働事情(フィリピン・マレーシアチーム))
フィリピンは、約30万平方キロメートルの国土(日本の約8割)を持つ国です。一般的なイメージよりもかなり広いのではないでしょうか。
また、人口も約1億900万人と、日本の約1億2千万人に近い数字になっています。
しかし、日本人の平均年齢が48.6歳であるのに対してフィリピン人は24~25歳で、全く違います。
さらに、フィリピン人の平均寿命は男性67.4歳、女性73.6歳となっています。他国に比べて平均寿命が短いのは、新生児の死亡率が高いためです。
フィリピンの国内情勢や状況
次に、フィリピンの国内情勢と状況を見ていきます。人口や国内の経済はどのように推移しているのでしょうか。
人口が急増している
フィリピンの人口は、1982年には約5,000万人でしたが2002年には約8,000万人に増え、2024年現在は1億人を超えています。
人口の増加は今後も2054年頃まで続き、およそ2億人に届く見込みです。
フィリピンの人口が増え続けているのは、宗教上の理由から中絶が禁止されていることや、離婚が認められていないといった要因も考えられます。
2024年現在、人口が2億を超えているのはインド、中国、アメリカ、インドネシアの4カ国だけです。
以上からも、フィリピンの人口増加の勢いがいかに大きいかがうかがえます。
GDPの上昇が続いている
下は、2012年~2021年のフィリピンにおける名目GDPを表に表したものです。
西暦 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
GDP | 2,619 | 2,839 | 2,975 | 3,064 | 3,186 | 3,285 | 3,468 | 3,768 | 3,615 | 3,936 |
GDP単位:億米ドル
(出典元:外務省・フィリピン基礎データ)
2012年と2021年のGDP(国内総生産)を比較すると、上昇率は66%となっており、人口の増加にともないフィリピンの経済も大きく成長していることがわかります。
前述したようにフィリピン人の平均年齢は24~25歳であり、若い労働者を大量に抱えているからです。
フィリピンの人口増加とGDPの上昇は、日本の少子高齢化による人口減少や経済の低迷とまさに対照的です。フィリピンの若い労働力は、人材不足に苦しむ日本の企業にとって貴重な人材といえます。
出稼ぎ文化が定着
大量の若い労働力を保持するフィリピンですが、その一方で出稼ぎ文化が定着しています。経済が大きく成長しているものの、給与水準は変わらず低いためです。
フィリピンの平均年収は約60万円であるのに対し、日本の平均年収は460万円で、フィリピンの約7倍になります。
フィリピン国内の物価もかなり安いので生活はそれほど苦しくはないとはいえ、外国でお金を稼ぐのは非常に魅力的なことです。
2017年では、フィリピンの出稼ぎ労働者数は約1,000万人で人口の1割を占めています。
海外に出稼ぎに行っている家族からの送金はGDPの約1割にのぼり、フィリピン国内の消費を押し上げています。
日本の外国人労働者にもフィリピン人は非常に多く、その数は中国、ベトナムに次いで第3位です。
公用語は英語とタガログ語
フィリピンの公用語は英語とタガログ語で、近年ではセブ島への英語留学がさかんであることからも、フィリピン人の英語力の高さがうかがえます。英語は、アメリカの植民地時代に導入されました。フィリピンでは小学校から大学まで授業で使われる言葉のほとんどが英語です。
英語はフォーマルな言葉という認識で、主に職場などで使われています。以上の理由から、フィリピン人の9割は英語を話すことができます。
もう一つの公用語であるタガログ語は、首都であるマニラ周辺で使われている言語です。
多くのフィリピン人は職場や公共の場では英語を使い、家族や友達との会話ではタガログ語を話すという風に使い分けています。
また、フィリピンは多民族国家なので100種以上の言語が存在するといわれ、いくつかの言語を話せる人も珍しくはありません。
フィリピン人の特徴と性格
ここまで、フィリピンの基本情報や国内情勢についてお話ししてきました。
人口の爆発的な増加とともに経済成長を続けるフィリピンですが、まだ収入は低く、出稼ぎ労働者が多い現状があります。
では、フィリピン人とはどんな人達なのでしょうか?
ここからは、フィリピン人の特徴や性格、さらにフィリピン人と接する際に気を付けるべきポイントについても解説していきます。
ホスピタリティが高い
フィリピン人の特徴としてよく言われるのが、ホスピタリティの高さです。フィリピン人は思いやりの心が強く、困っている人を見たら放ってはおけない国民性を持ちます。日本人の中にはフィリピンへ旅行や仕事で行った際に、とても親切にされたという経験がある方も多いはずです。
このような特性は、キリスト教の「誰にでも思いやりの心を持つ」という教えによるものだと考えられています。
また、フィリピン人のホスピタル精神は日本の「おもてなし」とも似ているため、介護や看護、サービス業などの職業がマッチするといえるでしょう。
明るく笑顔を絶やさない
性格が明るく笑顔を絶やさないのも、フィリピン人の特徴です。前述のホスピタリティとも関連する特性ですが、いつも笑顔の人は周囲を幸せな気持ちにさせます。
明るい性格は、温暖で穏やかな気候と美しい自然に囲まれたフィリピンの風土が関係しているのかもしれません。
そのため、日本に来ても好感を持たれて周囲に馴染むのが早いことは仕事の習得にもプラスになり、一緒に働く日本人にも良い影響を与えます。
国民のほとんどがカトリック信者
フィリピン人のほとんど(約80%)はカトリック信者です。5つの東南アジア加盟国の中でキリスト教国はフィリピンだけなので、他のアジア諸国とは違った宗教観を持っているといえます。
たとえば、フィリピンでは中絶が禁止されています。また、一度結婚したら離婚することができません。日本人には「原罪」という考え方はありませんが、キリスト教では人間は生まれたときから罪を背負っているとされています。同じ宗教を信じる必要はありませんが、倫理観が異なるということを理解していないとトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
仕事へのプライドが高く忍耐強い
フィリピン人は仕事へのプライドが高く、忍耐強いという特徴を持ちます。フィリピンは大家族が多いので、生活を維持するために一生懸命働かなくてはなりません。
もちろん日本人も忍耐強く働くという点では共通していますが、家族への送金のために働くことは少ないかもしれません。家族を養っているという気持ちが強い分、フィリピンの人達は仕事へのプライドが高いため、細かい仕事や根気が必要とされることにも、もくもくと取り組みます。
また、日本人と異なる点として、周りの空気を読んで発言や行動をする習慣はありません。イエス・ノーがはっきりしているので初めは戸惑うかもしれませんが、裏表がないため納得したらすぐに仲直りできる利点もあります。
家族を大切にする
フィリピン人は、とても家族を大切にします。なぜなら、フィリピン人にとって結婚とは相手の家族や親せきまで同じように養うという意味があるからです。
そのため、フィリピンでは家族が病気になったら仕事を休むのは当然のことで家族を放っておいてはいけないため、残業は引き受けません。
家族に困ったことがあれば、とことん全力で助けるのが、フィリピン人です。
社会性が高くチームワークが強い
社会性の高さと強いチームワークも、フィリピン人の特徴として挙げられます。フィリピン人は家族を大切にするとともに、友達や仕事の同僚との関係も非常に重んじます。
休日には、友人とスポーツや食事を楽しんだり、仲間と集まり過ごすことを好みます。そんなフィリピン人の社会性の高さは、グループで仕事をこなす際のチームワークにもつながっているのです。
仲間が困っていたら全力で手助けをするなど、フィリピン人の社会性とチームワークに助けられることは数多くあります。
献身的な女性が多い
フィリピン人の女性には、献身的な人が多いです。家族や友達を大切にするフィリピン人ですから、恋人に献身的に尽くすのは自然な流れかもしれません。
日本人男性とフィリピン人女性のカップルをよく見かけますが、フィリピン人女性が献身的に尽くすので、惹かれるのかもしれません。
親日家が多い
親日家が多いのもフィリピン人の特徴のひとつです。フィリピンへ行くとよくわかりますが、日本人だと伝えるととても喜び、親切に接してくれます。親日家が多い理由として、日本のアニメやゲーム、歌謡曲といったサブカルチャー好きな人が多いことが挙げられます。
今のフィリピン人の成人層は、子供の頃から日本のアニメやゲームに親しんできたため、日本に強い親近感があるのです。
また、日本の「たこ焼き」「ラーメン」「焼肉」「とんかつ」などはフィリピンで大きな人気があります。フィリピン人が日本食を好むのも、親日家が多い理由となっています。
人前で怒られるのが苦手
フィリピン人は人前で怒られるのが非常に苦手です。日本人の場合も基本的に人前では怒らない方がいいですが、フィリピン人はプライドが高い民族です。
人前で怒られることに敏感に反応し、翌日から仕事に来ないことさえあります。
そもそも、フィリピンは褒めて伸ばす文化です。たとえば「難しい漢字を知ってるね」など、小さなことでもきちんと褒めるとやる気が出ます。たとえ家族間であっても、フィリピン人は人前で叱ったりはしません。それだけ、人前で恥をかかせるのはタブーなのです。
注意しなくてはならない場合は、他の人のいない場所で怒るのではなく、論理的に説明しましょう。プライドを傷つけずに説明することで、改善が期待できます。
時間に遅れやすい
フィリピン人の注意すべき特徴に、時間に遅れやすい点があります。フィリピン人には時間を守るという概念自体が希薄で、物事を計画的に進めるという習慣もないからです。日本人の感覚だと、待ち合わせの5分間前に到着するなどは常識で、遅れそうな場合はあらかじめ連絡を入れるのがマナーとされています。
しかし、フィリピン人の感覚では1時間くらい遅れるのは全く普通です。日本人にはルーズと感じるかもしれませんが、文化が違うので理解するしかありません。
フィリピン人と待ち合わせをする場合や期限を切って仕事をする際は、余裕をもって時刻や期限を伝えるなどの対策が必要です。
忘れっぽい
何かと忘れっぽいのも、フィリピン人の注意すべき特徴です。
カトリック信者は毎週日曜日に教会へ行って祈りを捧げますが、祈ることで罪が許されたと考え、前週までの出来事を全て忘れてしまうからです。ですが、人の顔や名前を覚えるのは得意な方が多く、決して忘れません。
しかし、顔や名前以外では大切なことを告げても一度では覚えてもらえないため、何度も根気よく繰り返す必要があります。
可能であれば、仕事を依頼した週の内に終えるようなスケジュールを組むと良いです。フィリピン人と仕事に取り組む際は、忘れっぽいという特徴に要注意です。
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まとめ
ホスピタリティが高く、明るい笑顔を絶やさないフィリピン人は、介護施設でも多くの利用者に喜んで受け入れられています。また、仕事に対するプライドの高さや忍耐強さは、一緒に働く日本人にもきっと良い影響を与えることでしょう。
もちろん、文化の違いによる考え方や行動を理解する努力は、必要になります。
しかし、現在の多様化社会においては、相互理解こそが仕事をスムーズに進めるために必要な条件です。
労働者不足が進む日本で、フィリピンの若い人材は今後ますます大きな力になるに違いありません。
文化の違いを正しく理解して協力し合うことは、今後の日本の発展に欠かせないといえるでしょう。