コラム

【最新版】特定技能2号の業種が拡大!全16業種のうち対象業種を解説

特定技能

2024/10/20
2024/10/20

2023年6月、日本で永久的に就労できる「特定技能2号」の対象業種が、2業種から11業種へ拡大しました。これにより、「特定技能外国人」は、2023年と比較して37%以上増加しています。
今回は、特定技能2号で拡大した業種や、特定技能制度の特徴、1号2号の違い、今後の展望を解説します。

特定技能とは?


特定技能制度とは、深刻な人手不足を解消するため、人材確保を目的として作られた在留資格です。2019年4月に運用が開始され、多くの外国人が日本で長期的に就労できるようになりました。

人手不足がとくに深刻化する16業種が対象で、「特定産業分野」と呼ばれています。
特定産業分野は、定期的に方針が見直され、これまで業種数に以下の変更がありました。

変更年度 変更数
2019年4月 14業種
2022年 12業種(業種数の減少ではなく、3つの業種が1つに統合)
2024年6月 16業種(新たに4業種の追加を決定)

現状以下の16業種が、特定技能制度の対象です。ご確認ください。

業種 備考
自動車運送業 2024年追加
鉄道
林業
木材産業
介護
ビルクリーニング
工業製品製造業 2022年に「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」が1つに統合
建設業
造船・舶用工業
自動車整備
航空
宿泊
農業
漁業
飲食料品製造業
外食業

また、特定技能制度と似た在留資格に「技能実習制度」があります。共通点は多いものの、似て非なるものです。両者の違いを下表にまとめました。

目的 在留期間 職種 受け入れ方法 受け入れ人数の制限 家族の帯同
特定技能 人手不足の解消 ・1号:通算5年
・2号:上限なし
16業種 制限なし 建設・介護職を除いてなし 2号は可
技能実習 海外への技能移転 ・1号:1年以内
・2号:2年以内
・3号:2年以内最長5年となる
85職種(156作業) 送り出し機関と提携する、監理団体からの紹介 ・職員30名以下の企業は3名
・優良企業は6名
不可

人手不足の解消を目的とした特定技能制度は、即戦力となれるスキルを有していなくてはなりません。
一方、技能実習制度は、技能実習生に高い技能を求めず、業務へ従事して経験を積みながらスキルを習得します。
(参照元:法務省「特定技能ガイドブック」)

特定技能2号の概要


特定技能には「1号」と「2号」があります。

「特定技能2号」とは、1号よりも熟練した高い技術を持った外国人向けの在留資格です。2号の資格を持っていれば、高い技能を持った人材だと認定され、1号よりも専門的で難易度の高い業務に従事できます。受け入れ企業にとって、戦力となる人材を確保できる点はメリットです。

他にも、2号の外国人は、日本で永久的に就労できます。長期的な雇用により、人材の育成も可能です。

もちろん、外国人にとってのメリットもあります。母国と比較し収入の多い日本に、無期限で住むことができ、自分の家族も帯同可能という点です。

また、特定技能2号は、2023年6月に2業種から11業種へ業種拡大となりました。詳細は下表にて紹介します。

業種数 具体的な業種
既存の業種 2業種 造船
建設
新たに追加された業種 9業種 製造業
農業
ビルクリーニング
自動車整備
航空
宿泊
漁業
飲食料品製造
外食

ちなみに「特定技能2号」には、介護分野が含まれません。「介護」の業種かつ2号でない、「在留資格介護」という在留資格の取得を目指します。「在留資格介護」も、永住的に日本で就労でき、家族も帯同できる資格です。

これを踏まえると、2024年6月に特定技能に追加された4業種以外の12業種は、永久的な日本での就労が支援されていることになります。(※)

(※)2024年10月時点では、2024年6月に追加された「自動車運送業」 「鉄道」「林業」「木材産業」において、特定技能2号の対象となるかどうかがまだ確認されていません。

特定技能1号との違い

特定技能2号と1号の違いを解説します。

①在留期間について

1つめの違いは、「在留期間」です。特定技能1号では、在留期間が通算5年のところ、特定技能2号は無期限となります。
特定技能1号では、5年が経過したら、特定技能2号または他の在留資格へ移行しない限り、在留を延長できません。
特定技能2号を取得していれば、在留期間の更新に上限がないため、永久的に日本で就労できます。

②支援体制の必要性

2つめの違いは、「支援体制の必要性」です。

特定技能1号の場合、受け入れ企業は、就労する外国人労働者に対して支援計画の作成と実施が義務付けられています。
支援内容には、以下などが含まれます。

  • 日本での生活や職場への適応支援
  • 相談対応
  • 住居の確保
  • 教育や研修の実施など

企業で支援することが難しい場合は、登録支援機関への委託が必須です。

一方、特定技能2号には、支援計画の作成義務がありません。
特定技能2号を持つ労働者は、1号よりも自立した就労が期待されるため、日常生活における支援は不要です。

実際の例として、技能実習生から特定技能制度に移行した場合、8年間は日本に滞在しています。10年近く滞在していれば、日本の生活には十分に慣れていることでしょう。

ちなみに、登録支援機関とは、外国人材教育や就労支援に関する専門的な知見とノウハウを有し、労働力不足に悩む企業が、優秀な外国人財を採用する際のサポートをしています。

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③家族帯同の可否

3つめの違いは、「家族帯同の可否」です。

特定技能1号では、原則として、配偶者や子どもなどの家族は、帯同できません。
もともと一時的な人手不足の解消を目的としていて、長期的な在留は前提としていないためです。

一方、特定技能2号は、家族の帯同が可能です。外国にいる配偶者や子どもを日本へ呼び寄せられます。
特定技能2号を取得している外国人には、長期的に日本で就労しながら、家族と安定した生活が送れる環境が整っています。

特定技能2号を採用する手続き

企業が特定技能2号を採用するには、次の方法があります。

  • 特定技能1号で採用した外国人に経験を積んでもらい特定技能2号になってもらう
  • 他の企業で特定技能1号の経験を積んだ外国人を2号として受け入れる

2号の外国人を採用するには、1号を取得した外国人が、2号を取得できるよう支援することが求められます。
特定技能制度は、1号を満了すれば自動的に2号を取得できるわけではありません。無期限で就労できる在留資格となるため、以下のような取得の条件が設定されています。

  • 特定の実務経験(実務経験の内容は、業種によって異なる)
  • 業種ごとの特定技能2号の試験に合格する
  • 一部の業種では日本語能力が求められる

ただし、特定技能2号の試験を受ける際も要件が設置されています。具体的には、外国人に管理や指導などの実務経験が必要です。実務の難易度や、その証明方法は業種によって異なります。
また、実務経験があり高い技能を試験で証明できれば、特定技能1号を経ずに2号を取得することも可能です。

多くの分野で定められている必要な実務経験は2年以上です。採用した特定技能1号の人材に、特定技能2号を取得してもらうには、2年間で計画的にキャリアを積み、分野によってはサブリーダーなどのポジションに就任させるなどの、支援が求められます。

ただ、特定技能制度は、2019年に創設されたため、2021年ごろまでは試験に挑戦できる外国人が少ない状況でした。
他にも、前述のとおり2号の対象業種が2から11分野に拡大したのは、2023年6月です。そのため、ほとんどの業種で2号の試験が始まってからまだ日が浅いことになります。

最新情報となる、令和6年6月末時点では特定技能2号の人数は、153名でした。令和6年5月末時点では98名のため、1ヶ月で50名も増加しています。

(引用元:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」)

今後もますます特定技能2号の資格を取得する外国人が増加していくと予想できます。

特定技能の展望は?

無期限で就労でき、外国人にも雇用する企業にもメリットが大きい特定技能制度は、2号へ移行する人材が今後も増加していくと考えられます。
また、2号の対象業種が拡大されたことで、もともと技能実習生として日本で就労したことがある人材も、再度日本へ就労しに来ると予想できます。

特定技能制度が創設されるまでは、技能実習制度を満了してから、他の在留資格の取得が困難な状況でした。これにより、継続的に日本で働けず、母国へ帰国した外国人は多いです。

今回の拡大により、永久的に日本で働く資格を得るために、特定技能外国人として日本へ再度入国する元技能実習生の人数が増加するかもしれません。

まとめ

特定技能制度2号の業種拡大により、日本で特定技能外国人として就労する外国人が増加傾向です。これにより、人材不足が解消され、日本企業に大きく貢献しています。

今後、特定技能外国人として来日する人材はますます増え続け、それに伴って受け入れの企業も増加も予想できます。

規模の拡大に合わせ、制度の整備や見直しが実施されるかもしれません。政府からの省令により、特定技能外国人制度が改正される可能性もあるため、最新情報を確認しましょう。

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