コラム

外国人技能実習生としてミャンマー人が注目を集めています。特に、農業や建設業など一定のスキルが必要とされる分野で高い人気があり、労働力不足の解消にも大いに貢献しています。そんな能力が高いミャンマーからの技能実習生を受け入れるには、いくつかの手続きや注意点、適切な準備とサポートが必要です。

この記事では、ミャンマー人技能実習生がなぜ人気なのか、その背景や具体的な受け入れの流れ、さらに円滑な受け入れのためのポイントについて詳しく解説します。

ミャンマー人技能実習生が注目される理由

ミャンマー人技能実習生が注目される理由は、その勤勉さと真面目な姿勢にあります。多くのミャンマー人は、与えられた仕事をしっかりとこなす責任感が強く、日本企業の求める働き方に適応しやすい人が多いです。さらに、日本の職場文化や技術を学び、自分たちの生活や故郷に還元したいという意欲も高いため、スキル向上を目指す姿勢が企業から評価されています。

また、ミャンマー人は親日的であることもあり、日本文化や生活への適応がスムーズである点も利点です。これは、受け入れる企業にとって文化やコミュニケーションの面での負担を軽減する要素となり、安心して雇用できるポイントとなります。さらに、ミャンマーの若年人口は増加傾向にあり、国内の雇用が十分でないため、労働機会を求めて海外へ働きに出る意欲が高いことも日本での技能実習制度に対する参加意識を高める要因です。

このような理由から、ミャンマー人技能実習生は、企業の人材確保の手段として人気を集めています。

ミャンマーの基本情報

ミャンマーは、東南アジアに位置する国で、インド、バングラデシュ、タイ、ラオス、中国と国境を接しています。国土面積は約68万平方キロメートルで、これは日本の約1.8倍にあたります。人口は約5500万人とされ、民族構成は非常に多様で、ビルマ族をはじめとする135の民族グループが存在します。公用語はビルマ語で、主に仏教が信仰されていますが、少数ながらキリスト教やイスラム教徒もいます。

首都はネピドーですが、経済・商業の中心地は最大都市ヤンゴンです。ミャンマーは長い間軍政が続いてきましたが、2010年以降は民主化が進み、経済も徐々に発展してきています。豊富な天然資源を持つ一方で、経済的には発展途上であり、農業が主要産業ですが、製造業や観光業も重要な成長分野です。経済の自由化と共に外国からの投資も増加し、インフラや教育などの面で近代化が進められています。

気候は主に熱帯モンスーン気候で、雨季と乾季があり、湿度が高いのが特徴です。文化面では、ミャンマーの伝統的な衣装である「ロンジー」やバガンの遺跡群などは世界的に有名です。近年、観光地としても人気が高まりつつあり、ミャンマーの豊かな自然や歴史的遺産は、多くの旅行者を魅了しています。

ミャンマー人技能実習生の特徴

ミャンマー人技能実習生は、勤勉で素直な性格、仕事に対して真面目で日本企業から高い評価を受けています。彼らの特徴としてまず挙げられるのは、与えられた仕事に対して責任を持ち、指示に従って丁寧に作業をこなす点です。多くのミャンマー人は、地道な作業にも粘り強く取り組む姿勢を持っており、農業や建設業、製造業の他にも医療現場といった日本の労働市場でニーズが高い分野で活躍しています。

また、ミャンマー人は日本文化や習慣に対して親しみを持ちやすいとされています。ミャンマーはもともと仏教国であり、礼儀や人を敬う態度を重視する価値観が日本と共通しているため、日本での生活や職場文化に馴染みやすい傾向にあります。これにより、現場でのコミュニケーションや人間関係も円滑に進みやすく、日本企業としても採用のリスクが低いとされているのです。

さらに、ミャンマー人技能実習生は、技術習得への意欲が高く、生活を支えるための収入だけでなく、日本の技術や知識を学び、自国の生活や未来に活かすことを目指しています。実際、日本で得た技術や経験を帰国後に活かして地元で新たな仕事を始める人も増えており、日本での学びを通じてミャンマーの産業発展に貢献したいと考える実習生も多いです。

ミャンマーは若年層が多く、働く意欲が高いことも特徴です。ミャンマー国内では雇用機会が限られているため、技能実習制度を利用して日本で働き、生活を支えつつスキルを磨きたいという若者が増えています。ミャンマーでは大学卒業後の就職が難しい状況にあり、日本での技能実習は貴重なキャリアパスと見なされています。そのため、多くの実習生は長期的な視野を持って学びに励み、日本の技術や知識をできる限り吸収しようと努力します。

ミャンマー人技能実習生を受け入れる際のポイント

ミャンマー人技能実習生を受け入れる際には、文化や言語の違い、サポート体制が重要です。これらのポイントを押さえることで、ミャンマー人技能実習生が日本での生活や業務に適応し、安心して働ける環境を提供できるようになります。

それでは、ミャンマー人技能実習生を受け入れるための具体的な4つのポイントを挙げていきます。

日本語教育とコミュニケーションの支援

ミャンマー人技能実習生にとって、言語の壁が最初の大きな課題です。受け入れ前に日本語教育を実施することが理想的ですが、企業側でも基本的な日本語会話のサポートをすることが重要です。また、現場でのコミュニケーションを円滑にするために、通訳や多言語対応のマニュアルを用意するなどの工夫が必要です。

日本語を身につけることで、業務に対する理解が深まり、職場環境での信頼関係が築きやすくなります。

文化的背景と宗教への理解

ミャンマーは仏教が主流ですが、多様な民族と宗教が共存しています。そのため、文化的な背景や宗教への配慮が重要です。

たとえば、特定の食事制限や礼拝の時間に対応するために、献立や休憩時間などにも配慮することが望まれます。また、日本の生活習慣に戸惑うこともあるため、日本の習慣やルールを丁寧に説明することで、実習生が新しい生活環境にスムーズに適応しやすくなるでしょう。

生活サポートと相談体制の整備

実習生は言語や文化の違いから、日本での生活に不安を抱えることが多いため、企業や地域での生活サポート体制が必須です。住居の手配や生活に必要な情報提供、日常生活でのサポートをおこなうことで、実習生の安心感を高めることができます。さらに、困ったことや悩みを相談できる担当者を設けることで、職場や生活におけるストレスを軽減し、長期的な就労につなげることが可能です。

キャリア支援と技能向上の機会を設ける

外国人技能実習生はスキルを身につけたいという意欲が高いため、実務経験だけでなく、キャリアに役立つ技能を学べる機会を設けることが大切です。職場での専門的なトレーニングや資格取得支援をおこなうことで、実習生のモチベーションが高まり、仕事に対する意識も向上します。

それに加えて、帰国後に活かせるスキルや経験を積むことができれば、実習生の満足度が上がり日本での実習をポジティブに受け止めやすくなります。

外国人技能実習生の受け入れ手続き

ここまでは、ミャンマー人技能実習生の特徴や人気の理由を説明してきました。では実際に、ミャンマーからの技能実習生を受け入れるためにはどのような手続きが必要になってくるのでしょうか。ミャンマー人技能実習生の受け入れ手続きの流れやポイントについて見ていきましょう。

外国人技能実習生の受け入れに必要な書類

外国人技能実習生を受け入れるためには、以下の書類を事前に揃える必要があります。

外国人技能実習生を介護分野で受け入れるときに必要な書類

さらに介護分野では、技能実習制度を通じての実習生受け入れにおいて、法的な手続きや人数管理をおこなわなければなりません。以下は、技能実習生の受け入れに必要な書類に加えて、介護分野の受け入れに必要な書類です。

今後、技能実習制度の変遷と育成就労制度への移行

日本では技能実習制度の見直しが進み、「特定技能制度」と連携した新たな「育成就労制度」へ移行するための法案が2024年6月14日、国会で可決・成立しました。この新制度は、外国人技能実習生の就労経験を日本でのキャリア形成やスキル向上につなげ、より質の高い労働力を日本国内で育成することを目指しています。

改正案が施工されるのは2027年、その後3年間の移行期間が設けられていますが、2030年までには技能実習制度と育成就労制度が併存することになります。

技能実習制度から育成就労制度への主な変遷ポイントについて見ていきましょう。

技能実習制度の課題解決

従来の技能実習制度では、外国人労働者の人権保護や労働条件の改善が課題とされています。技能実習制度は「技能習得を目的とする制度」であるため、人材不足対策や長期的な就労には直接的に対応できない側面があります。しかし、育成就労制度では、労働者のキャリア発展や適正な労働条件の確保を前提に制度設計が行われるため、こうした課題を解決することが期待されています。

特定技能制度との統合と柔軟な就労形態

育成就労制度は、特定技能1号と特定技能2号の連携が計画されています。技能実習制度では、業種や職種が限定されていましたが、新制度ではより多様な分野での就労が可能です。また、技能レベルの向上に応じて就労の継続が認められるため、長期的なキャリア形成がしやすくなるでしょう。

技術習得からキャリア形成への重視

新制度では、技術やスキルの習得だけでなく、実習生の日本でのキャリア形成に重点が置かれます。日本での就労期間中に得たスキルを活かして特定技能への移行が可能となるため、実習生自身のモチベーション向上にもつながると考えられています。

まとめ

日本の技能実習制度におけるミャンマー人実習生の受け入れは、増加しています。彼らが受け入れる理由は、国際的な人材不足解消の一環として、高い適応力や勤勉さを持ち合わせているからです。受け入れにあたっては、さまざまな書類が必要で、雇用契約書や技能実習計画書、身元保証書などが求められます。

特に、介護分野においては実務者研修修了証明書や技術指導員の資格を証明する書類が重要です。今後、日本は技能実習制度から育成就労制度への移行を進め、実習生のキャリア形成を支援します。この新制度では、技能習得だけでなく、長期的な就労機会や生活サポートが充実し、実習生が安心して働ける環境が整えられることが期待されています。