コラム
特定活動46号とは?技術・人文知識・国際業務との違い|概要やメリット・デメリットわかりやすく解説
特定技能
在留資格の「特定活動46号」を取得した外国人人材は、幅広い業務に就業できます。介護施設での業務も認められていますので、「もっと詳しく知りたい」という採用担当者もいるでしょう。
今回は、在留資格の「特定活動46号」の概要や雇用主側のメリット・デメリットなど、採用担当者が知りたい情報をくわしく解説します。
目次
在留資格の特定活動とは
在留資格の特定活動とは、他の在留資格に該当しない活動をおこなう外国人に対して、法務大臣が個別に活動を指定する形で付与する在留資格です。
状況に応じて柔軟に対応できることが特徴です。
新型コロナの影響で帰国が難しい外国人、東京オリンピックの準備や運営にかかわる外国人など、一時的な滞在を認める場合にも適応されてきました。
特定活動には以下の3つの区分があります。
区分 | 内容 | 種類 |
法定特定活動 | 専門的な研究や情報処理機関で働く 外国人や家族向けの在留資格 |
3種類 |
告示特定活動 | 法務大臣が告示している特定活動 | 46種類 (2023年1月時点) |
告示外特定活動 | 法務大臣が特別な事業により 在留を認めている特定活動 |
– |
※法定特定活動は、出入国管理および難民認定法に規定されている特定活動のこと。
在留資格「特定活動46号」とは
在留資格の「特定活動46号」とは、告示特定活動の1つです。
外国人留学生の就職先の拡大を目的に、2019年5月に新設されました。
それまで認められていなかった工場でのライン作業や、接客サービスなどが認められるようになったのが大きな特徴です。
なお、出入国在留管理庁のガイドラインでは、在留資格の「特定活動46号」の制度を以下のように定義しています。
“本制度は、本邦大学等卒業者が本邦の公私の機関において、本邦の大学等において修得した学修の成果等のほか、留学生としての経験を通じて得た高い日本語能力を活用することを要件として、幅広い業務に従事する活動を認めるものです。”
(引用元:出入国在留管理庁「留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学等卒業者)についてのガイドライン」)
特定活動46号で従事可能な業務例
外国人人材が特定活動46号の活用によって、実際にどのような業務に従事できるのでしょうか。
そこでこの章では、特定活動46号で従事可能な業務例を紹介します。
勤務先 | 業務例 |
介護施設 | 日本語でのコミュニケーションを必要とする介護業務
※施設内の清掃や衣類の洗濯のみは認められていません。 |
食品製造会社 | 他の従業員と日本語で商品の企画・開発をおこない、自らも商品製造ラインで作業をおこなう
※商品製造ラインの作業のみは認められていません。 |
工場 | 日本人従業員からの指導を他の外国人従業員に対して伝達しつつ、自らも製造ラインに入って作業をおこなう
※商品製造ラインの作業のみは認められていません。 |
飲食店 | 店舗管理業務や通訳を兼ねた接客作業
※厨房での皿洗いや清掃のみは認められていません。 |
小売店 | 仕入れや商品企画、通訳を兼ねた接客販売業務
※商品の陳列や店内の清掃のみは認められていません。 |
(参考元:出入国在留管理庁「留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学等卒業者)についてのガイドライン」)
特定活動46号で従事できるかどうかは、日本語を使ったコミュニケーションが業務に含まれているかがポイントです。
単純作業のみは認められない場合があるので注意しましょう。
取得条件
特定活動46号を取得できる外国人がどのような人材かをイメージできるように、取得条件について説明します。
特定活動46号を取得するには、以下の2つを満たす必要があります。
|
つまり、特定活動46号を取得している外国人人材は日本で学んだ経験があり、高い日本語能力を有しています。
在留期間
特定活動46号で認められる在留期間は、3カ月・6カ月・1年・3年・5年のいずれかです。
ただし原則として、「留学」の留学資格からの変更許可時および初回の在留期間更新許可時に決定される在留期間は1年です。
そのため、新卒の場合は在留期間が2回連続で1年となります。
更新を続けることで、永住権の取得も目指せます。
家族帯同の可否
特定活動46号を取得した外国人の配偶者と子どもについては、帯同が認められています。
配偶者と子どもは在留資格の「特定活動47号」を取得できるためです。
特定活動46号で転職をする場合
特定活動46号を取得した外国人が転職する場合、在留資格変更許可申請が必要です。
特定活動46号では、在留資格申請時に「指定する活動」として雇用先企業が指定され、その内容が「指定書」としてパスポートに貼り付けられます。
そのため、転職で雇用先企業が変わると「指定する活動」も変わるため申請が必要になるのです。
ただし、同一法人内の異動や配置換えなどについては、在留資格変更許可申請は必要ありません。
特定活動46号を取得している外国人を雇用する場合、在留資格変更許可申請が許可されるまで就労できないので注意しましょう。
技術・人文知識・国際業務との違い
在留資格にはいくつかの種類があり、そのなかでもよく利用されているのは「技術・人文知識・国際業務」です。
この在留資格は、高度なスキルを持つ人や専門的な知識を持つ人が取得できます。
名称のとおり、就業できるのは技術・人文知識・国際業務の3分野です。
つまり、在留資格の「特定活動46号」と「技術・人文知識・国際業務」との大きな違いは従事できる業務です。
2つの在留資格の違いを以下の表にまとめました。
特定活動46号 | 技術・人文知識・国際業務 | |
対象業務 | 高い日本語能力を活用することを要件に、幅広い業務が対象 | 技術・人文知識・国際業務の3分野に該当する業務 |
在留期間 | 3カ月・6カ月・1年・3年・5年 | 3カ月・1年・3年・5年 |
在留期間の更新 | ○ | ○ |
学歴の条件 | ・日本の大学・大学院・短期大学・高等専門学校を卒業 ・認定専修学校専門課程を修了し、高度専門士の称号を取得 |
・大学や大学院を卒業、もしくは日本の専門学校を卒業 ・技術・人文知識の場合は実務経験が10年以上 ・国際業務の場合は、実務経験が3年以上 |
日本語能力の条件 | ・日本語能力試験N1 ・BJTビジネス日本語能力テストで480点以上 ・大学や大学院において「日本語」を専攻して卒業 |
条件はなし |
家族の帯同 | ○ | ○ |
転職 | ○ | ○ |
派遣労働 | × | ○ |
永住権の取得 | ○ | ○ |
上記の違いから、特定活動46号のほうが幅広い業務に従事できます。
雇用主側の特定活動46号のメリット
この章では、特定活動46号の外国人人材を雇用する企業側のメリットについて紹介します。
外国人人材の雇用を検討している採用担当者は、ぜひ参考にしてください。
即戦力として期待できる
1つ目のメリットは、即戦力として期待できることです。
アルバイトの留学生をそのまま正社員として雇用できるため、外国人にとっても
慣れた職場で働けるのは、大きなメリットです。
日本の文化や習慣に慣れた外国人を雇用できる
2つ目のメリットは、日本の文化や習慣に慣れた外国人を雇用できることです。
特定活動46号では、日本の大学や大学院などを卒業・修了していることが条件のため、企業にとって受け入れやすい外国人人材です。
長期的な人材確保につながる
3つ目のメリットは、長期的な人材確保につながることです。
特定活動46号の在留期間は、3カ月・6カ月・1年・3年・5年のいずれかですが、何度も更新が可能です。
また、将来的には永住権の取得もできるため、長期的な視点から次世代を担う人材の確保ができます
雇用主側の特定活動46号のデメリット
特定活動46号はメリットばかりではありません。雇用する前にデメリットについても押さえておきましょう。
具体的に、特定活動46号の外国人人材を雇用するデメリットは、在留期間の更新に時間や手間がかかることです。
とくに新卒の場合、在留期間「1年」が2回続くため、短期間で2度も手続きをする必要があります。
特定活動46号の変更および更新における注意点
特定活動46号の外国人人材を雇用する際の注意点は、在留資格の変更および在留期間の更新期間において、以下の2点です。
①素行が不良でないこと
特定活動46号の前提条件として、素行が善良であることが求められます。つまり、素行が良好と認められない場合、申請が許可されないので注意が必要です。
例えば、資格外活動許可の条件に違反して、1週間に28時間以上のアルバイトをするなどです。このような事実が判明すると、素行が不良と認定されます。
②入管法に定める届出等の義務を履行していること
具体的には在留カードの記載事項にかかる届出、在留カードの有効期間更新申請、紛失による在留カードの再交付申請、在留カードの返納などです。
これらの義務を履行していないと、申請が許可されません。
申請が許可されないと就労できないため、これらの確認事項に該当しないように雇用主側も注意する必要があります。
まとめ
「特定活動46号」は、外国人留学生の就職先の拡大を目的に、2019年5月に新設された在留資格です。
特徴は、日本で学んだ経験があることや日本語能力が高いことに加えて、工場のラインや介護施設などの幅広い業務に従事できることです。
日本では少子高齢化・人口減少が叫ばれており、多くの産業で人材不足が深刻化しています。
人材不足の解消方法として、在留資格の「特定活動46号」の外国人人材の活用を検討しましょう。
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