コラム
在留カードを紛失した場合の対処法は?紛失届から再交付手続きまで詳しく解説
手続き
在留カードを紛失したとき、どうすればよいのかわからない外国人は少なくありません。企業担当者で相談を受けた方も多いのではないでしょうか。在留カードは、外国人の適法な在留資格を証明するもので、常時携帯を義務づけられています。しかし、紛失しても罰則を科せられることはないので、落ち着いて速やかに警察署に紛失届を出し、再交付申請を行えば問題ありません。
この記事では、在留カードを紛失してしまったときに適切な対処ができるように、紛失届や再交付申請について詳しく解説します。企業担当者は、外国人社員が在留カードを紛失したときにサポートするときの参考にしてみてください。
在留カードの紛失時にすべきこと
在留カードを紛失したとき、落ち着いて速やかに対処をすることが大切です。なぜなら、紛失したまま放っておくと、不正利用される
リスクや罰則を受ける可能性があるためです。以下で在留カードを紛失したときの適切な対処法を説明します。
最寄りの警察署に紛失届を提出
在留カードの紛失に気づいたら、まず最寄りの警察署に紛失したことを届け出る必要があります。
後日、再交付を申請するときに必要な、紛失したことを証明する書類である遺失届出証明書を発行してもらうためです。また、在留カードを拾った人が悪用することを回避するためでもあります。
紛失したこと自体に罰則を科せられることはないので、落ち着いて速やかに対応しましょう。
14日以内に再交付を申請する
警察署への届け出を済ませたら、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に再交付の申請を行わなければいけません。出入国管理及び難民認定法により再交付の申請をするまでの期限は、紛失に気づいた日から14日以内と規定されています。
再交付申請についての相談は、地方出入国在留管理官署または外国人在留総合インフォメーションセンター(0570-013904)に相談してみてください。
「在留カードの交付を受けた中長期在留者は、紛失、盗難、滅失その他の事由により在留カードの所持を失つたときは、その事実を知つた日(本邦から出国している間に当該事実を知つた場合にあつては、その後最初に入国した日)から十四日以内に、法務省令の定める手続により、出入国在留管理庁長官に対し、在留カードの再交付を申請しなければならない」
(引用元:出入国管理及び難民認定法「 第四章紛失等による在留カードの再交付 第十九条の十二」)
在留カードの再交付の手続き方法
在留カードの再交付手続きについて、申請先や申請時間、必要書類などを以下の表にまとめました。
申請先 | 住居地を管轄する地方出入国在留管理官署 |
申請受付時間 | 9時~12時、13時~16時 |
必要書類 | ・在留カード再交付申請書 ・顔写真 ・紛失したことを証明する書類 ・パスポート ・在留カード漢字氏名表記申請書(希望者のみ) |
申請者 | 本人もしくは法定代理人、取次行政書士や弁護士、 申請取次の承認を受けている企業担当者 |
再交付までにかかる期間 | 申請日当日 |
費用 | 無料 |
それぞれの項目について詳しく説明するので、在留カードの再交付方法についてしっかり理解し、手違いがないように気をつけましょう。
申請場所
再交付の申請場所は、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署です。地方出入国在留管理官署は、入国管理センターが2ヶ所、地方入国在留管理局が8ヶ所、支局が7ヶ所、そして出張所が61ヶ所設置されています。
住んでいる近くに地方出入国在留管理官署がない場合は、出張所で再交付の申請を行えます。
受付時間
再交付申請の受付時間は、平日の午前9時〜12時、13時〜16時です。時期によって受付窓口が混雑することがあるため、時間に余裕をもって申請するようにしましょう。
また、受付時間はそれぞれの地方出入国在留管理官署によって異なっている場合もあるので、申請前に受付時間を確認することをおすすめします。
再交付申請に必要な書類
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在留カード再交付申請書や在留カード漢字氏名表記申請書は、出入国在留管理庁のホームページからダウンロードできるので、スムーズに申請するためにも事前に必要事項を記入し持参した方がよいでしょう。
申請者
在留カードの再交付申請は、本人以外に以下の方が行えます。
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本人との関係を証明するために住民票や委任状が必要となる場合があります。詳しくは、出入国在留管理庁のホームページや、地方出入国在留管理官署または外国人在留総合インフォメーションセンターに問い合わせして確認してみてください。
再交付までの期間
在留カードは、原則申請日当日に交付されます。混雑等の理由で、当日交付されなかった場合は、後日もう一度訪れて在留カードを受け取らなければなりません。
受け取りの際は、パスポートや申請受付票などの提出が必要となるので、しっかり確認しておきましょう。
再交付に必要な費用
在留カードの再交付は無料です。しかし行政書士や弁護士に依頼する場合は数万円程度の依頼料がかかります。
海外で在留カードを紛失したときの対処法
海外で在留カードを紛失してしまっても、国内で紛失した場合と対処法は同じです。
まず、速やかに現地の警察署に届け出ましょう。帰国後の再交付申請に必要な紛失したことを証明する書類を交付してもらう必要があります。
在外日本大使館や領事館では、在留カードの再交付はしてもらえません。帰国14日以内に、地方出入国在留管理官署で再交付の申請を行ってください。
在留カードを紛失した状態で再入国する方法
海外で在留カードを紛失していてもビザ免除国の方は、再入国許可を受けていれば日本へ入国できます。
しかし、ビザ免除国以外の国籍の方は、出発空港で搭乗拒否をされる可能性があるので気をつけてください。搭乗拒否を回避するには、再入国許可期限証明書を用意する必要があります。
日本に住んでいる家族や友人、企業担当者に再入国許可期限証明書を取得してもらい、国際郵便で送ってもらいましょう。
警察署に届け出たときに発行してもらった紛失を証明する書類と再入国許可期限証明書を持って行き、搭乗手続きを行ってください。
企業担当者が在留カードについて知っておいた方がよいこと
在留カードについて詳しい知識を身につけ、外国人社員に在留カードの携帯義務やリスク、紛失したときの対処法などを説明しておくことが大切です。大切な社員がトラブルに巻き込まれることなく業務に取り組めるように、しっかり理解しておきましょう。
在留カードは常時携帯の義務がある
在留カードは、日本に中長期在留する16歳以上の外国人は常時携帯の義務があります。
在留カードを常時携帯しなければいけないことを知らない外国人もいるので、採用時にしっかり説明しておきましょう。
在留カードの携帯義務が免除される場合
携帯義務のある在留カードですが、以下の場合には携帯義務が免除されます。
・16歳未満の方
・特別永住者証明書を持参している方
上記以外には、就労ビザ申請手続きを代行してもらうために、在留カードを預けた場合は例外として一時的ですが携帯義務が免除されます。ただし預り証を発行し渡して、携帯しておくよう伝えておきましょう。警察官などに在留カードの提示を求められたら、預り票を提示すれば携帯義務違反にはあたりません。
企業担当者でも在留カードを預かってはいけない
外国人社員に頼まれたとしても、在留カードを預かってはいけません。在留カードを常時携帯することを徹底させましょう。
在留カードを携帯していないとどうなる?
在留カードを携帯していないと、20万円以下の罰金に科せられる可能性があります。
第二十三条第二項の規定に違反して在留カードを携帯しなかつた者は、二十万円以下の罰金に処する。
(引用元:出入国管理及び難民認定法「第九章罰則 第七十五条の三」)
※第二十三条第二項は、在留カードの携帯義務規定
再交付申請が遅れると罰金がある
紛失に気づいてから14日以内に再交付の申請を行わないと、20万円以下の罰金に科せられる可能性があります。紛失に気づいたら速やかに最寄りの警察署に届け出て、地方出入国在留管理官署で再交付の申請を行うよう伝えておきましょう。
紛失中に在留カードの提示を求められたときは?
紛失中は、パスポートと遺失届出証明書を携帯することをおすすめします。パスポートは、在留カードの代わりに身分を証明するために利用できるからです。
在留カードは、携帯義務だけではなく、入国審査官や入国警備官、警察官、海上保安官などに在留カードの提示を求められた場合は応じなければならない義務もあります。提示を拒否した場合は、1年以下の懲役または二十万円以下の罰金に課せられる可能性があるので注意してください。
紛失中に在留カードの提示を求められた場合は、遺失届出証明書とパスポートを提示し、紛失した経緯や再交付申請前であることを説明しましょう。
紛失した在留カードが見つかった場合は古いカードは返納
再交付したあとに古いカードが見つかった場合は、発見日から14日以内に古いカードを返納する必要があります。
地方出入国在留管理官署に直接持参して返納する以外に、郵送での返納も可能です。郵送で返納する場合は、書類「在留カード等の返納について」に必要事項を記入し、封筒の表に「在留カード等返納」と表記し郵送してください。
まとめ
在留カードを紛失してしまったときに適切な対処について紹介しました。適切な対処をしないと罰則を科せられる可能性があるため、慌てずに速やかに対処する必要があります。また保管方法を見直すなど、紛失防止に努めることも大切です。
本人だけでなく外国人を雇用している企業の担当者も、在留カードについて詳しく知っておくことは、大切な外国人社員を守ることにつながるだけでなく、社員からの信頼を得られるようになるでしょう。