コラム
【2024年最新】外国人採用で使える助成金や補助金活用まとめ|外国人雇用の支援制度について解説
費用
「外国人を採用したい」と考えているものの、予算がなく、踏み出せずにいる企業が多いかもしれません。実は、外国人労働者を雇用する際、国が提供する助成金や補助金を利用できる場合があります。
本記事では、国が提供している助成金や補助金についてご紹介します。助成金や補助金以外の外国人雇用の支援制度についても解説するため、積極的な採用に役立ててください。
目次
そもそも助成金と補助金の違いは?
まず助成金と補助金の違いを把握する必要があります。下表に、外国人雇用の助成金と補助金の主な違いをまとめました。
主な目的 | 支給条件 | 管轄機関 | |
助成金 | 雇用の安定化や研究開発の促進 | 受給要件を満たせば大半の場合支給される | 厚生労働省 |
補助金 | 企業の成長支援 | 予算が限られており、申請数次第で早期に支給終了する場合がある | 経済産業省 |
外国人雇用の助成金一覧
外国人の雇用や採用に活用できる助成金は、次のとおりです。国籍に関係なく利用できます。
- 雇用調整助成金
- トライアル雇用助成金
- キャリアアップ助成金(正社員化コース)
- 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
- 人材開発支援助成金(人材育成支援コース)
雇用調整助成金
雇用調整助成金は、経済的な理由で事業活動を縮小せざるを得なくなった企業が、次の費用を支援してもらえます。
- 従業員の雇用を維持するためにかかった休業費用
- 教育訓練にかかった費用
- 出向にかかる費用
景気の悪化や産業の変化などの経済的な理由で事業規模を縮小する際、企業は一時的に休業や教育訓練、出向などの雇用を調整しなくてはなりません。従業員の雇用を守った場合に、その費用が助成される仕組みです。
主な受給要件 | 次の要件をすべて満たすこと
①休業の場合:従業員との協定により、定められた労働日に全日休業を実施すること
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受給額 | ①休業 | 事業主が支払った休業手当負担額に、以下の助成率を乗じた金額
その初日から1年間で最大100日分、3年間で最大150日分受給できる |
②教育訓練 | 賃金負担額の相当額に以下の助成率を乗じた金額
1人1日あたり1,200円の加算(受給額の計算では1人1日あたり8,635円を上限とするなど、いくつかの基準あり) |
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③出向の場合 | 最長1年の出向期間中受給できる
中小企業:2/3 |
(参照元:厚生労働省「雇用調整助成金」)
トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金は、職業経験の不足により就職が難しい求職者に対して、一定期間のトライアル雇用をおこなう企業を助成するものです。ただし、トライアル雇用後は、無期雇用契約への移行が前提となります。
この助成制度の目的は、求職者の早期就職を支援し、より多くの雇用機会を提供することです。
主な受給要件 (対象労働者) |
次の条件すべてに該当する人が対象
・安定した職業に就いている人
・過去2年以内に2回以上離職や転職を繰り返している人 |
主な受給要件 (雇入れの条件) |
次の条件すべてに該当すること
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受給額 |
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(参照元:厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」)
キャリアアップ助成金(正社員化コース)
キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者等(※)のキャリアアップを促進し、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主を助成するものです。
ここでは、正社員化コース(有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換等をした場合に助成金を支給)について紹介します。
主な受給要件(対象労働者) | 次の条件すべてに該当すること
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受給額 | 1人当たりの助成額は以下のとおり(別途、加算額の制度あり)
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(参照元:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和6年度版)」)(※)有期雇用労働者等とは
有期雇用労働者等とは、企業との労働契約が一定の期間内で終了する労働者のことです。
有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などが当てはまります。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
人材確保等支援助成金は、外国人特有の状況に配慮した労働環境を整える事業主に対し、その費用の一部を助成する制度です。外国人労働者を職場に長く定着させることが目的となります。
主な受給要件(対象労働者) |
・雇用労務責任者の任命
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受給額 |
・賃金要件を満たす場合:対象経費の2/3(上限72万円) |
支給対象経費 |
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(参照元:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」)
人材開発支援助成金(人材育成支援コース)
人材開発支援助成金は、労働者のキャリア全体を見据え、段階的かつ体系的に職業能力を向上させることを目的とする助成金です。
事業者は、外国人労働者を雇うとき、業務に関連する専門知識や技能を習得させなくてはなりません。その訓練にかかる費用や訓練期間中の賃金の一部が助成されます。
ただし、訓練の計画を立て、計画に基づいて職業訓練を実施した場合が対象です。
主な受給要件 (対象労働者) |
以下いずれかの要件をすべて満たすこと | |
正規雇用者の訓練 | 1.訓練を提供する事業所で働いている正規雇用の被保険者であること(有期契約労働者を除く) 2.訓練期間中も、引き続き被保険者であること 3.訓練計画時に提出された「訓練対象者一覧」に名前が記載されていること 4.訓練受講時間が、実際の訓練時間の80%以上であること |
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有期契約 労働者の訓練 |
1.訓練を提供する事業所で既に雇用されている、または新たに採用された有期契約労働者であること 2.訓練期間中に有期契約労働者として雇用されており、訓練終了日または助成金申請日までに被保険者であること 3.訓練後に正規雇用への転換を約束して雇用された労働者ではないこと(転換の検討予定者は除外) 4.訓練計画時に提出された「訓練対象者一覧」に名前が記載されていること5.事業主または団体が実施する訓練の目的や内容を理解していること(育児休業中の訓練は除く)6.訓練受講時間が、実際の訓練時間の80%以上であること |
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主な受給要件 (人材育成訓練) |
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受給額・受給率 ※()は中小企業以外の受給額・受給率 |
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(参照元:厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内」)
外国人労働者の補助金一覧
外国人の雇用や採用に活用できる主な補助金は次のとおりです。国籍に関係なく利用できるものが多くあります。
- 国際化促進インターンシップ事業
- 外国人雇用支援に関する補助金 (地方自治体等主催)
- インバウンド対応力強化の支援に関する補助金(地方自治体等主催)
国際化促進インターンシップ事業
国際化促進インターンシップ事業は、直接雇用する前に、留学生のインターンシップ(就業体験)で外国人労働者を受け入れるときにもらえる補助金です。この事業は、次のことを目的としています。
- インターンシップの実施を通じて日本企業(中堅・中小企業)における高度外
- 国人材の活躍環境を整備する
- 企業が海外展開等に取り組む体制強化を促進する
主な受給要件(対象企業) |
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受給額 | 1回の受入に対して1活動日1名あたり2,000円を支給 |
その他 主な支援 |
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(参照元:経済産業省「国際化促進インターンシップ事業」)
外国人雇用支援に関する補助金 (地方自治体等主催)
外国人雇用支援に関する補助金は、地方自治体によって、外国人雇用を促進するための補助金制度を設けていることがあります。この補助金は、外国人従業員に対して日本語教育などを提供する企業に対し、その費用の一部を支援するものです。
補助金の名称や具体的な内容は自治体によって異なりますが、補助対象となる経費は以下の通りです。
- 外国人材の採用に関連する費用(求人サイトの掲載料など)
- 日本語研修にかかる費用(会場使用料、外部講師の委託料、教材費、交通費など)
- コミュニケーション向上のための費用(通訳機器の購入費など)
- 外国人従業員の生活環境を整えるための費用(寮の修繕費や設備導入費など)
インバウンド対応力強化の支援に関する補助金(地方自治体等主催)
自治体によっては、観光地や宿泊・飲食業者を支援する補助金制度を用意していることがあります。訪日外国人観光客(インバウンド)への対応力強化が目的です。
補助金の名称や内容は自治体によって異なりますが、一般的な補助金対象費用は以下のとおりです。
- 多言語対応に必要な費用(案内表示やパンフレット作成、多言語対応タブレット導入など)
- 公衆無線LANの設置にかかる費用
- 電子決済システムの導入費用
- 外国人観光客向けの設備整備費(トイレの洋式化、防犯カメラの設置など)
- インバウンド対応のための人材育成費(研修やセミナー開催、受講費など)
とくに「インバウンド対応のための人材育成費」は、外国人雇用に大きく関連します。外国人観光客への接客スキルを習得するための研修費用が補助対象となる場合があります。
ここでいう研修内容は、例えば「おもてなし文化」や「クレーム対応」などです。
外国人雇用の支援制度はなにがある?
外国人を雇用するときの支援制度は、主に以下があります。
- 製造業外国従業員受入事業
- 外国人雇用管理アドバイザー制度
製造業外国従業員受入事業
この事業は、製造現場において最大1年間外国人を雇用できる制度です。事業の目的は、以下となります。
国内外の生産拠点で効果的な役割分担をおこなうこと
日本国内の製造業の空洞化を防ぎ、国際競争力を強化すること
具体的には、次の体制構築を目的としています。
①海外の事業所で働く特定の外国人従業員が、在留資格「特定活動」で来日
②日本国内の生産拠点で働きながら専門的な技術を習得
③その後、習得した技術を生かして母国の事業所に戻り、そこで日本で得た技術を普及させる
④この技術移転を通じて、日本の事業所は研究開発の力を高め、海外の拠点は日本の技術を活用する
とくに、日本と海外に事業所を持つ企業にとってはメリットが多いです。外国人労働者に日本のノウハウを移転させたうえで帰国させれば、その技術を海外事業所にも普及させられます。
(参照元:経済産業省「製造業外国従業員受入事業」)
外国人雇用管理アドバイザー制度
外国人の採用や雇用についての問題や質問に対応する相談窓口です。厚生労働省によって各都道府県に設けられていて、無料で利用できます。
外国人労働者の雇用管理や職場でのトラブルなどについて、専門知識と経験を持つ「外国人雇用管理アドバイザー」が、各企業の状況に合わせてアドバイスします。最寄りのハローワークから申し込み可能です。
(参照元:厚生労働省「外国人雇用管理アドバイザー」)
よくある質問
外国人の雇用・採用で使える助成金や補助金、支援制度についてよくある質問と回答をまとめました。
外国人雇用にあたって補助金・助成金はいくらもらえる?
それぞれの制度によって、受給額は異なります。また、条件があるため、すべての企業がすべての助成金を利用できるわけではありません。
ただし、本記事で紹介した最も高額な助成金は以下となります。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース):72万円
助成金・補助金の問題点は何がある?
主なデメリットは、次のとおりです。
- 手続きや審査が面倒
- 複数の助成金を同時進行する場合には、管理が難しい
- 基本的に後払い
利用できる補助金が知りたいときや、補助金の申請で悩んでいるときは、@カイゴへご相談ください。@カイゴは、介護福士の現場へ、外国人労働者の採用や、その後の管理を支援しています。
補助金制度や現状の悩みについてのアドバイスも可能です。お気軽にお問い合わせください。
まとめ
外国人の採用や雇用において、助成金や補助金は企業にとって大きな支援です。支援制度を活用することで、外国人雇用や受け入れにかかる負担を軽減し、労働力不足を解消しやすくなります。特に、外国人材の教育や職場定着に向けた支援を受けることで、企業は持続的な成長とグローバル化につながります。
本記事で紹介した、最新の助成金や補助金を活用し、外国人採用をより効果的に進めてください。制度の詳細や申請方法については、必ず公式機関の情報を確認しながら、条件を満たすかどうかをしっかりと把握することが大切です。