コラム

特定技能1号と2号の違いを徹底解説!取得条件・在留期間・各分野の仕事内容について

特定技能

2024/11/30
2024/12/6

特定技能は、1号と2号の2種類あり、どちらも日本での就労を希望する外国人にとって重要な在留資格制度です。2つの資格は、それぞれ異なる条件や在留期間、仕事内容、求められる技能や家族帯同の可否などが異なることをご存知でしょうか?

一般的に特定技能1号は、特定技能2号に比べて受け入れ条件が優しく、企業にとって採用がしやすいとされています。
この記事では特定技能1号と2号の違いや特定技能1号の職種にはどういったものがあるのか、外国人材の採用を検討する企業や働く意欲のある外国人の方々に役立つ情報を解説します。外国人労働者の雇用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

特定技能1号2号の概要

特定技能とは、日本が人手不足に対応するために2019年4月に創設した在留資格制度で、外国人労働者を対象としています。特定技能1号と2号に分類され、1号は12分野14業種の単純労働において、基礎的な業務を担う人材を対象としています。一方、特定技能2号は、建設や造船など高度な技能が求められる業種が対象で、在留期間の上限がありません。近年、採用条件や就労条件などの最新情報について各種ガイドに掲載されており、無料ダウンロードで資料も活用可能で、海外からも閲覧にすることが可能です。

特定技能1号とは?

特定技能1号とは、日本で人手不足を補うために設けられた在留資格の1つで、外国人が特定の14業種で働ける制度です。高齢化社会や人口減少の影響で、日本国内では単純労働や特定の技能が必要とされる分野で人手不足が深刻化しています。特定技能1号は、これらの業種に外国労働者を受け入れることで労働力を確保するための仕組みです。また、特定技能1号により、外国人が自国で得た技能や知識を日本で活かせる機会が生まれ、双方にとってのメリットです。

それでは、特定技能1号の職種や仕事内容などについて詳しくみていきましょう。

特定技能1号の職種一覧と仕事内容

特定技能1号では、14業種で働けるようになっています。各業種の職種と仕事内容を以下にわかりやすくまとめました。

職種 仕事内容
介護 ・介護施設などでの高齢者の生活支援業務
・食事や入浴、リハビリの補助など、日常生活のサポートが中心
ビルクリーニング ・オフィスビルや商業施設での清掃業務
・床や窓の清掃、ゴミ収集など、建物を清潔に保つ仕事
農業 ・各作物に応じた土壌づくりや施肥作業、種子、苗木の取扱い資材、装置の取扱い栽培に関する業務
・安全衛生業務などに従事
漁業 ・釣りによる方法を主とした魚介類の捕獲(延縄漁、カツオ一本釣り漁、イカ釣り漁など)
・船での作業や養殖場での管理なども含まれる
飲食料品製造業 ・原料の処理、加熱、殺菌、成形、乾燥などの、生産に関わる一連の作業
・業務上の安全衛生と食品衛生を守るための業務も対象
外食業 ・レストランや飲食店での調理、接客、後片付けなどの業務
・厨房での調理補助やホールでの接客、店舗管理
宿泊業 ・ホテルや旅館での接客や清掃からフロント業務、部屋の準備、お客様への案内業務
・企画、広報といった業務に就くこともある
建設業 ・型枠施工やコンクリート圧送、トンネル推進工、建設機械施工、土工、鉄筋施工 、とび 、海洋土木工業務
・土木施設の新設、改築、維持、修繕と幅広い業務も対象
造船・舶用工業 ・船舶の建造や修理、メンテナンス業務
・溶接や組み立て作業、塗装などが主で、機器、装置、運搬機の運転や資材の管理、配置など
自動車整備業 ・自動車の日常点検整備、定期点検整備、特定整備、特定整備に付随する(電子制御装置の整備や鈑金塗装など)基礎的な業務
・整備内容の説明及び関連部品の販売、ナビ・ETCなどの電装品の取付作業などの関連業務
素形材産業 鋳物や塗装、仕上げ、溶接、機械検査、鍛造、ダイカスト、工業板金、機械保全、プラスチック成形、機械加工、めっき、アルミニウム陽極酸化処理、金属プレス加工といった素材に関連する業務
電気・電子情報関連産業 機械加工、仕上げ、プラスチック成形、プリント配線板製造、電子機器組立て、電気機器組立て、機械検査、機械保全、工業包装、強化プラスチック成形といった電気電子機器など製造工程、組立工程の作業
産業機械製造業 ・主に企業や工場内で使用される産業用の機械製造
・日本人が従事する業務の補助
航空業 ・指導者やチームリーダーの下で、航空機地上走行支援業務や手荷物
・貨物取扱業務、手荷物・貨物の航空機搭降載業務、航空機内外の清掃整備業務
・地上作業や安全確認業務

特定技能1号の拡大分野

2022年に「素形材産業」「電気・電子情報関連産業」「産業機械製造業」の3分野が統合され、「工業製品製造業」と名称を変更し特定技能1号の対象業種は12業種となりました。この統合は、3つの分野が製造業の枠組みのなかで共通する部分が多く、業務内容や技能の重複があることから、外国人労働者の受け入れを一括して管理しやすくする目的としておこなわれました。

この改定により、業務範囲や試験内容の整理が進み、特定技能の取得がより分かりやすくなっています。

特定技能2号とは?

特定技能2号とは、特定の産業分野でさらに高度な専門性や技能を持つ外国人が日本で長期間働ける在留資格です。家族の帯同が認められ、更新制限がないため、定住の道も開かれています。日本の人手不足解消を目指し、現在では、熟練技能が求められる11分野で運用されており、特定技能1号からのステップアップが可能です。

それでは、特定技能2号の特徴や分野、取得方法について詳しくみていきましょう。

特定技能2号の職種一覧と仕事内容(※令和5年9月以前)

令和5年9月以前は、特定技能2号の対象となっている職種が「建設業」と「造船・舶用工業」の2つの分野に限定されていました。それぞれの仕事内容を、わかりやすく説明します。

職種 仕事内容
建設業
(土木、建築、配管、塗装、溶接など)
・道路や橋、建物などの建設現場での作業や、配管の設置や補修、壁の塗装、溶接
造船・舶用工業
(溶接、船体組立、機械加工、配管設置など)
・船舶の製造や修理、メンテナンス
・大型船の船体を組み立てるための溶接や、エンジンや機械装置の加工、配管の設置

特定技能2号の拡大分野

特定技能2号は、改定により建設業と造船・舶用工業に加えて、令和5年6月、新たに9つの分野が追加され、合計11分野となりました。これにより、対象業種が大幅に広がり、高度な技能を持つ外国人労働者の長期的な受け入れが可能になっています。

追加された9分野は、以下のとおりです。

職種 仕事内容
ビルクリーニング業 ・オフィスビルや商業施設の清掃業務全般
・床や窓、トイレなどの衛生管理に加え、清掃機械の操作も含む
・現場管理業務、同業務の計画作成、進行管理その他のマネジメント業務
工業製品製造業 ・鋳造や鍛造といった素形材の加工
・産業機械や電気電子機器の組立・加工・メンテナンスなどの作業
・これらの工程を管理する専門的な業務。
自動車整備業 ・自動車の定期点検、修理、部品交換を行う業務
・エンジンやブレーキなど、自動車等の分解、点検、調整など整備作業の実務経験を3年以上有する者が特定技能2号取得の条件
航空業 ・航空機地上走行支援業務や手荷物・貨物取扱業務、手荷物・貨物の航空機搭降載業務
・指導者やチームリーダーとして、これらの工程を管理
・自己判断での機体や装備品などの整備業務
宿泊業 ・従業員を指導
・ホテルや旅館などのフロント業務、客室清掃、レストランの配膳などの接客
・施設管理
・旅館やホテル内における販売、備品の点検・交換
農業 ・野菜や果物の栽培、収穫、出荷準備といった農作業
・種子、苗木の取扱い、栽培に関する作業
・飼養管理、畜産物の集出荷・選別などの農作業及び当該業務に関する管理業務
漁業 ・漁船に乗っての水産物の捕獲、養殖場での魚介類の管理、収穫作業
漁具や漁労機械の点検・換装、社内外における研修
・魚類や貝類、藻類などの育成、養殖池や網の清掃、水質等の管理
・作業員の指導及び作業工程の管理
飲食料品製造業 ・食品の加工、調理、包装業務
・複数の作業員を指導
外食業 ・レストランやファストフード店での調理、接客、清掃
・料理の仕込みや提供、衛生管理、顧客対応
・舗内の衛生管理全般、従業員のシフト管理、求人・雇用に関する事務

 

特定技能1号と2号の違い

特定技能1号と2号の違いは、外国人が日本で働く際の在留期間や業務内容、取得要件のほかにも細かな違いがあります。

また、特定技能と就労ビザと特定技能は混同されやすいですが、就労ビザは、知識や経験を持つ外国人が取得するものです。そのため就労ビザは、一般的に技術・人文知識・国際業務ビザが多く、技術・人文知識は10年、国際業務は3年の経験が必要となります。

特定技能1号と2号の違いについては以下のとおりです。

特定技能1号 特定技能2号
在留期間 最大5年
(1年、6か月または4か月ごとに在留期間の更新)
更新回数無制限
(3年、1年または6か月ごとに在留期間更新)
永住権の取得 不可(在留資格のみ)
(一定の条件を満たした場合)
求められる技能水準 業務を遂行できる基礎的な技能 特定の分野で高度な技能
外国人支援の有無
家族帯同の可否
日本語能力試験の有無
試験の実施状況 国内外で実施され、多くの対象分野に対応 高度な技能試験の合格が必要。各国との協力による二国間の覚書に基づいて実施される場合もある

在留期間

特定技能1号の在留期間は、1年、6か月または4か月ごとに在留期間を更新し、最長5年であり、更新制限があります。一方、特定技能2号は3年、1年または6か月ごとに在留期間の更新はありますが、在留期間に上限がなく、条件を満たせば無期限に更新可能です。

特定技能2号の永住権取得要件

特定技能1号では、永住権の取得はできません。一般的には、日本での在留期間が10年以上であることが求められます。ただし、特定技能2号は「熟練技能を持つ外国人」としての評価が高く、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く)または居住資格を持っていれば、5年程度の在留でも永住申請が認められるケースもあります。

そのために申請者が安定した収入を持ち、日本で自立して生活できる経済基盤があることが求められます。それに加えて、税金や社会保険料をきちんと納めている、日本の法律を守り、過去に重大な違反がない(交通違反や未納税の有無も含む)、現在の雇用状況が安定しているなどの条件を満たさなければなりません。

求められる技能水準

特定技能1号と特定技能2号は、求められる技能水準に違いがあり、これが両者の重要な区別点となっています。

特定技能1号の就労する分野は、業務を遂行できる基礎的な技能が求められます。これには、基本的な作業を正確におこなう能力や、現場の指導のもとで業務をこなすための知識とスキルが含まれます。具体的には、分野ごとに設定された技能試験と日本語能力試験に合格しなければなりません。

また、特定技能1号の労働者は、基本的には即戦力として働くことが期待されています。簡単な作業から中級レベルの作業まで対応できる水準であり、指導やサポートがあれば、ある程度の業務をこなせるスキルが求められます。

特定技能2号は、特定の分野で高度な技能が求められるため、1号と比べて熟練したスキルが必要です。複雑な作業を自律的におこなう技術や現場で指導的な役割を担う能力も期待されます。

特定技能2号の申請には、1号での実務経験や技能試験を通じた評価が求められることが多く、特定技能1号で経験を積んだ労働者がステップアップする形で取得する場合が一般的です。高度な技術が求められるため、1号に比べて専門知識や業務への精通度が高く、作業の独立性や効率性も重要視されます。

外国人支援の有無

特定技能1号は、外国人労働者の受け入れの際に、企業や支援機関に対して具体的な支援義務が課されています。たとえば、住居の手配、生活に関する指導、日本語教育、そして就業後の支援が提供されます。支援機関や企業は、外国人労働者の適切な就業と生活環境を整備する役割を担い、そのための計画策定が義務付けられています。また、外国人労働者の就業契約に関する義務が明確に定められており、企業はこれを遵守しなければなりません。

特定技能2号では、技能の熟練度が高い労働者が対象となるため、特定技能1号ほど細かい支援義務はありません。特定技能2号の外国人労働者は、特定技能1号で一定の実務経験を積んだ後に、より高度な技能を活かす形で働くことが期待されています。そのため、支援機関や企業が提供する支援は1号ほど必須ではなく、基本的には労働者が自立して業務を遂行できると判断してもかまいません。

また、特定技能1号の外国人労働者には、技能実習生との違いがあります。技能実習生は、主に技能を習得することを目的としているため、一定期間の実習後に帰国することが一般的です。これに対して、特定技能1号は、長期的に日本で働くことが前提となっているため、生活支援がより重要になります。

家族帯同の可否

特定技能1号は、基本的に家族帯同は認められていません。外国人労働者が単独で就労することを前提としたビザであるため、家族を日本に呼び寄せることは許可されていません。例外的なケースもありますが、特定技能1号の労働者が家族を日本に招くことはできないと認識しておきましょう。
特定技能2号の場合は、家族の帯同が可能です。特定技能2号は、より高度な技術や専門的なスキルを持った労働者を対象としており、長期間にわたる就労が見込まれるため、家族の日本への帯同が認められています。つまり、特定技能2号を取得した外国人労働者は、本国から配偶者や子どもを日本に呼び寄せて共に生活することができます。

日本語能力試験の有無

特定技能1号は、日本語能力が一定の基準を満たしていることが求められます。その理由は、日本での就労を前提としているため、日常的なコミュニケーション能力が必要とされるためです。具体的には、日本語能力試験のN4レベル以上(基本的な日本語会話ができるレベル)を求められることが一般的です。この要件は、職場での意思疎通をスムーズにおこない、労働環境に適応するために重要とされています。

特定技能2号は、日本語能力試験の要件は基本的にありません。より高い技能を持つ労働者を対象としているため、技能試験をクリアすることが主な要件です。このため、言語能力よりも専門的な技術や知識の証明が重要視されます。

試験の実施状況

従来、日本国内での受験対象者は、「中長期在留者及び過去に中長期在留者として在留していた経験を有する方」などに限られていました。しかし、令和2年4月1日以降の国内試験から「在留資格を有する者」として在留資格をもって在留する外国人については一律に受験を認めることとしました。

特定技能1号の試験の場合、各分野ごとに特定の業界や職種に応じた内容で実施され、合格することでその分野における技能を証明できます。特定技能1号の資格取得を目指すには、日本国内外で実施される試験を受けることができます。

特定技能2号の試験の場合も、国内外で実施され、評価基準や試験の実施状況は業界団体や省庁から定期的に発表されています。また、特定技能1号から2号への移行に関しては、各国との協力による二国間の覚書に基づいて実施される場合もあります。

特定技能1号2号の取得方法

特定技能1号と2号を取得する方法をご存じでしょうか。
試験の詳細や必要な手続きや試験の詳細など、取得方法を詳しくみていきます。

特定技能1号の取得方法

特定技能1号を取得するには、分野ごとの技能試験に合格すること、もしくは技能実習から移行する2パターンがあります。それに加えて、職種に応じた一定の日本語能力も必要です。

  • 特定技能測定試験
    特定技能測定試験は、特定技能1号を取得するために必要な技能を確認する試験です。各業種ごとに異なる試験が実施され、業務に必要な専門的な知識や技術が問われます。
    この試験に合格すれば、特定技能1号の在留資格を申請できる資格を得ることができます。
    法務局のホームページには、各業種別の試験概要が公表されており、変更や最新の情報も記載されていますので確認しておきましょう。

試験は、海外から受験することも可能ですが、実施していない国もあるため、その場合は短期滞在ビザを取得して日本に来日してから受験することになります。

  • 技能実習からの移行
    技能実習生が特定技能に移行するには、まず実習期間中に一定の技能レベルを習得していることが求められます。特定技能1号への移行には、所定の試験(技能試験や日本語能力試験)に合格しなければなりません。

また、特定技能1号に移行するためには、新たな雇用契約が必要です。技能実習生としての契約は終了し、新しい雇用主と特定技能1号としての契約を結ぶことが必須です。

特定技能2号の取得方法

特定技能2号を取得するためには、特定技能1号で培った経験を基に、一定の実務経験(3年以上)を積み、さらに高度な試験を受けることが求められます。さらに、特定技能2号は、1号よりも専門的な技術が要求されるため、技術試験の内容もより高度です。

しかし、特定技能1号の資格を取得後、各業種で専門的な試験に合格したり、現場の責任者を任せられたりなどのキャリアを積んでいる場合、2号への移行に際して試験は免除が認められています。

特定技能1号2号の採用について

特定技能1号は、主に初めて日本で働く外国人労働者を対象としているため、採用企業はその人材が特定の業種で必要な技能を有していることを確認することが必要です。

特定技能2号は、特定技能1号を経て、より高度な技能を持った労働者を対象としています。2号への移行には、実務経験や技能試験の合格が求められ、より長期的に働くことが可能です。

特定技能1号と2号、どちらの採用も、企業が日本政府の指針に基づき、外国人労働者の適切な支援をおこなう義務があります。特定技能の採用は、企業の人手不足を解消する手段としておすすめしますが、実施する際は資格や業種ごとの要件だけでなく給与や採用にかかる費用など金銭面での負担についても理解しておきましょう。

特定技能の採用についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひ@カイゴへご相談ください。

まとめ

特定技能1号と2号は、日本で働く外国人労働者に向けた在留資格で、技能や日本語能力に基づいて就労することができます。特定技能1号は、特定の業種で初めて日本に来る労働者を対象に、技能試験や日本語能力を求められます。特定技能2号は、1号からの移行を経て、さらに高度な技能を持った労働者に与えられ、長期就労や家族帯同の条件も整います。

企業は適切な支援機関と連携し、外国人労働者を受け入れる際の要件を満たす必要があります。これらの資格は、人手不足を解消し、企業の競争力を高める有効な手段となるでしょう。

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