コラム

【最新版】外国人に介護福祉士資格を取得させたい!取得方法・補助金制度・受験資格・合格率・在留資格について解説

外国人

2024/11/30
2024/12/6

日本の介護業界は、深刻な介護士不足に直面しており、海外からの人材が欠かせない存在となりつつあります。しかし、外国人が「介護福祉士」資格を取得し、介護現場で即戦力として働くために介護施設や専門学校や大学で実務、勉強をして介護福祉士国家試験の受験、合格するといった多くの手順を乗り越えなければなりません。それでは、外国人が日本で永続的に介護福祉士として働くためには、具体的にどのような手順を踏めばよいのでしょうか?

この記事では、外国人が介護福祉士として資格取得を目指す方法について、実習や特定技能制度などの支援制度、受験資格、国家試験の合格率などについて解説していきます。

在留資格「介護」とは?

在留資格「介護」とは、日本で外国人が介護業務に従事するための在留資格の一つで、介護福祉士という国家資格を取得していることが条件です。この資格は、高齢化が進む日本において介護人材不足を解消するために設けられ、介護分野で働きたい外国人にとってキャリアの選択肢を広げるものとなっています。

在留資格の介護を持つ外国人が従事する仕事は、日本国内で介護が必要な高齢者や障がい者の方々を支援することを中心としています。その業務内容は、身体介護と生活支援の2つに大別されます。

外国人が介護福祉士試験を受験するには3つのルート

外国人が日本で介護福祉士の国家試験を受験するには、受験資格が必要です。受験までのルートには3つあります。

受験資格ルート 条件
指定の養成施設を修了する 必要なカリキュラムを履修し、2年以上の課程を修了する
実務経験を積み受験する ・特定技能の場合
…3年以上の実務経験を有し、一定の日本語能力を満たす・技能実習制度
1号技能実習から3号技能実習へ進む過程で技能評価試験を受験合格する
EPA(経済連携協定)による候補者 ・就労コース
…介護施設での3年以上の実務経験を積む
・就学コース
…大学や専門学校などで2年以上学ぶ

それぞれの受験資格ルートの詳細は、以下のとおりです。

指定の養成施設を修了するルート

外国人が介護福祉士資格を受験する一般的なルートは、日本の指定された介護福祉士養成施設を卒業することです。養成施設では必要なカリキュラムを履修し、2年以上の課程を修了することで、介護現場で求められる専門的な知識と技能を体系的に学ぶことができます。卒業資格を得ると、介護福祉士国家試験の受験資格が付与されます。このルートは、学びの質が保証された唯一の方法でもあり、日本国内外のさまざまな背景を持つ学生が利用しています。さらに、養成施設では試験対策のサポートが充実していることが多く、国家試験合格率の向上にも役立っています。

実務経験を積み受験するルート

実務経験を積み受験するルートには、以下の2通りがあります。

特定技能の場合

特定技能1号を取得し、介護分野に従事している外国人労働者には、実務経験を積みながら国家試験の受験を目指すというルートがあります。具体的には、3年以上の実務経験を有し、一定の日本語能力を満たせば、介護福祉士国家試験を受験する資格が得られます。特定技能制度は、外国人が現場での業務を通じて実践的な知識を深めながら、資格取得を目指せるメリットがあります。また、特定技能の資格取得者は、日本国内で安定した雇用を得られるだけでなく、介護福祉士へのキャリアアップを実現できる可能性が広がります。

技能実習制度の場合

技能実習制度は本来、外国人が日本で働きながら技術や知識を習得し、それを母国で活かすことを目的とした制度です。しかし、介護分野ではこの制度を通じて国家資格取得を目指すルートが整備されています。具体的には、技能実習生として来日し、1号技能実習から3号技能実習へ進む過程で技能評価試験を受験し、さらに介護福祉士国家試験の受験資格を得ることが可能です。ただし、このルートでは日本語能力試験(JLPT)N2相当の日本語力が求められます。そのため、実習期間中に日本語学習を継続し、試験対策に備えることが重要です。技能実習制度は現場での実践的なスキルを身につけると同時に、国家資格取得のチャンスを広げる制度として注目されています。

EPA(経済連携協定)による候補者としてのルート

日本はフィリピン、インドネシア、ベトナムの3か国と経済連携協定(EPA)を締結しており、これらの国々から介護福祉士候補生を受け入れています。EPA候補生は、日本語研修を受けた後、介護施設での3年以上の実務経験を積む就労コースと、大学や専門学校などで2年以上学んだ後に国家試験を受験する就学コースを選ぶことが可能です。このプログラムの特徴は、日本語能力試験(JLPT)の学習支援や生活費補助など、候補生が安心して学び働ける環境が提供される点にあります。加えて、EPA制度は日本の高齢化社会に対応した人材育成の一環として、政府間での強力なサポートがあることも魅力です。

外国人の介護福祉士の受験資格

介護福祉士国家試験に関して、年齢の上限や下限は設けられていません。しかし、外国人の場合、17歳以上の者(インドネシア国籍を有する者にあっては、18歳以上)という基準があります。そのため、間接的に若年層が多くなる傾向があります。加えて、公式に健康診断の提出などは義務付けられていませんが、介護業務が身体的・精神的に負荷のかかる仕事であるため、健康であることが暗黙の条件とされています。職場や研修先によっては、健康診断を義務付けるケースもあります。

試験の申込の注意点として試験受験後、45日間は次の受験ができません。また、日本国籍の者は受験することができません。

【一覧】外国人介護福祉士になるために利用できる補助金

外国人が介護福祉士資格を取得する際、日本国内で利用可能な補助金制度や支援策を一覧表でまとめました。補助金の概要に加え、各制度の申請条件や活用のポイントについては、以下のとおりです。

対象者 主な支援目的 申請先・担当機関
人材確保等支援助成金
(外国人労働者就労環境整備助成コース
外国人労働者を雇用している事業主 ・外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備をおこなう
・外国人の職場定着に取り組む事業主に対して、その経費の一部を助成する
厚生労働省
人材開発支援助成金
(人材育成支援コース)
事業主等が雇用する労働者 ・外国人、日本人を問わず、事業を支える従業員に計画的に職業訓練を実施する企業の支援
・職務に関連した知識や技能を習得させるための訓練を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成
厚生労働省
都道府県別助成金 事業主や介護施設 ・介護施設等が介護福祉士養成施設の留学生に対して給付する奨学金等の一部や助成や介護福祉士養成施設日本語学習の支援など介護に関連した支援 各地方自治体
日本学生支援機構(JASSO)奨学金 外国人留学生 ・日本国内の介護福祉士養成施設を卒業した外国人留学生が、奨学金返済の負担を理由に介護職以外の仕事を選ぶケースを防ぎ、介護現場への定着を図る 日本学生支援機構(JASSO)

外国人が介護福祉士を目指す際に利用できる補助金制度は、日本での資格取得や生活支援において重要な役割を果たします。これらの補助金は、個々の状況や目標に応じて多様な形で支援を提供し、外国人が安心して学び、働ける環境を整えることを目的としています。補助金制度は、介護人材の育成と安定した雇用確保を目指す日本社会にとっても不可欠な取り組みです。外国人介護職員がこれらの制度を十分に活用することで、日本でのキャリア形成を成功させ、介護業界全体の発展にも寄与することが期待されています。

外国人介護福祉士国家試験の合格率は低い?

外国人の介護福祉士国家試験の合格率は、日本語能力や専門知識の習得が影響するため、日本人の受験者に比べると合格率は低めの傾向にあります。2024年1月に実施された第36回試験は、全体の受験者数74,595人のうち、外国人留学生2,908人、EPA521人、特定技能1号1,950人、技能実習596人となっています。同年3月に合格発表がありましたが、全体の合格者数61,747人合格率82.8%に対し、外国人留学生1,092人の37.6%、EPA228人の43.8%、特定技能1号751人の38.5%、技能実習280人の47.0%と、どのルートで挑んだ外国人でも半分に満たない結果となりました。

この数字からも外国人にとって、介護福祉士試験は難関試験ということがわかります。しかし、フィリピン、インドネシア、ベトナムなどの介護福祉士候補生だけでなく、多くの外国人が日本で介護福祉士になるべく不合格だったとしても、再度受験に臨んでいます。このような背景から、厚生労働省や各自治体、事業所では、再受験者へのフォローアップをしたり、地方自治体や施設ごとに独自のサポートを展開したりと一緒に取り組むことで多くの外国人が再受験からの合格を目指しています。

外国人介護福祉士の受け入れについては@カイゴへ

介護業界の人材不足が深刻化するなか、外国人介護福祉士の受け入れが重要な課題のひとつです。そのためには、外国人が日本の介護現場に馴染み、スムーズに働けるようサポートするための情報が求められています。

介護業界で外国人の活躍が増えるなか「@カイゴ」では、ビザ申請や特定技能外国人の採用、国籍ごとの支援体制を含む包括的な情報、採用までのステップ、面接のコツ、適切な労働環境の整備に関するアドバイスなど介護業界の未来を支えるための情報を提供し、雇用主と働き手の橋渡しを担っています。外国人スタッフの受け入れを検討している施設や、実際に受け入れた施設のどちらにとっても頼りになる存在です。

詳細は @カイゴ公式サイトをぜひご覧のうえ、関心のある方はお気軽にお問い合わせください。

まとめ

外国人介護福祉士の受け入れは、介護業界が抱える人手不足の深刻な問題を解消する重要な取り組みです。日本では、EPA(経済連携協定)や特定技能制度などの実務経験を通じて、外国人が日本の介護現場で活躍するための仕組みが整備されています。しかし、この受け入れに際しては、在留資格取得や教育研修、職場環境の整備など、さまざまな要素が関わってくるため採用までの流れを把握しておかなければなりません。

外国人を受け入れる介護施設には、適切な支援体制が求められます。入職後のフォローアップや文化的な違いを理解したマネジメントの導入など、国や自治体から提供される補助金や支援制度を活用することで、受け入れにかかる負担を軽減することが可能です。

日本の介護現場における外国人の存在は、単なる人材不足の解消にとどまらず、介護サービスの充実や多文化共生や新しい価値観の導入にも寄与しています。これからも制度や支援の充実が進めば外国人介護福祉士の受け入れはさらに広がり、介護業界全体の発展につながることが期待されるでしょう。

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