コラム

在留資格「技能実習生3号」とは?1号2号との違いや移行対象職種を解説|移行手続きや特定技能制度との違いについても

技能実習生

2024/12/2
2024/12/8

「技能実習生3号」とは、技能実習制度の最上級段階であり、外国人労働者がさらに高度な技術を学び、貢献するための重要な在留資格です。1号2号との違いや、どのように3号へ移行するのか、また、特定技能との関係については意外と知られていないことも多いです。
本記事では、技能実習1号〜3号の違いを明確に解説し、3号への移行条件や手続き方法を詳しく説明します。さらに、特定技能との違いについても触れ、雇用側が知っておくべき実務的なポイントをしっかりと押さえていきましょう。

技能実習3号とは?

技能実習3号とは、技能実習制度の最上級段階で技能実習1号および2号から移行した実習生が、より高度な技術を学ぶための在留資格です。2号から3号への移行には一定の要件を満たし、技能検定に合格することが必要です。3号実習生は最長5年間の滞在が可能で、その後は母国に帰国することが一般的です。

実習生は、3年目以降、職種に応じた実技試験を受けることが求められ、合格すると3号への移行が確定します。移行対象の職種は、農業や建設業などさまざまで、企業側は優良監理団体を通じて受け入れ手続きをおこないます。また、移行の際には実技試験や評価が重要となり、企業は従業員のスキル向上を支援する必要があります。

技能実習3号への移行には、慎重な準備が必要ですが、適切な手続きを踏めば、実習生のスキル向上とともに、企業の成長にも寄与する重要なステップとなります。

技能実習「1号」「2号」「3号」の違い

技能実習制度は、主に開発途上地域の外国人労働者が日本での技術や知識を学び、母国の発展に貢献することを目的とした制度です。技能実習1号、2号、3号は、各実習段階にて学ぶ技術や滞在年数、求められる条件が異なります。これらの違いを理解することは、企業が外国人労働者を受け入れる際の運用において非常に重要です。
それでは、技能実習1号から3号までの違いと各ステップで実習生がどのように成長し、移行していくのかをまとめていきます。

技能実習1号の内容

技能実習1号とは、外国人が日本で技術を学び、母国でその技術を活用することを目的とした在留資格です。1号は、実習生が特定の職種で技術や知識を習得するための初めてのステップであり、在留期間は原則として1年間です。入国時には、指定された職種での実習活動が開始され、実習生はその分野で必要な技能を修得していきます。

実習生は、技能実習1号の期間中にその職種に関連する基本的な技能を身につけ、業務に従事することが求められます。この期間は、学びながら実務経験を積むことができる重要な時間であり、技能検定や講習を受けることもあります。1年目の実習が終わると、その後のステップへ進むためには一定の要件を満たさなければなりません。

1号は制限があり、就業先での活動内容や期間が厳格に規定されています。実習生はあくまで技術の修得を目的としているため、過度な労働を避けるための規定も設けられています。このように、技能実習1号は、実習生にとって技術的な基礎を築く重要な期間であり、次のステップへ進むための準備となります。

技能実習2号の内容

技能実習2号は、技能実習号1を修了した実習生が、さらに高度な技術や知識を習得するための在留資格です。2号への移行は、1号実習生が所定の技能検定に合格し、特定の職種で実習を続けることが条件となります。この段階では、実習生は実務において習得した基礎的な技術を実践的に活用し、さらに専門的な作業に従事します。

技能実習2号の在留期間は、2年、通算すると3年です。実習生は、2号の期間中に技能の習熟を深めることが求められ、特定の職種において実技試験や学科試験を受けることになります。3年目には、技能検定に合格することで、さらに上級の実習へ移行する資格を得ることができます。このため、2号の実習計画は厳格に管理され、活動内容が適切に評価されます。

また、2号に進む際には、出入国在留管理庁への提出書類や審査が必要であり、計画通りに進んでいるかがチェックされます。実習生は、3年目を迎える頃には、各作業に必要な技術をほぼ習得しており、より高度な作業に従事できるようになります。2号は、実習生にとって次のステップに進むための重要な期間であり、日本での技術を更に深め、将来的に母国での活用を見据えた実務経験を積むことができます。

技能実習3号の内容

技能実習3号は、実習生がより高度な技術を習得し、母国でその技術を活用することを目的としています。技能実習2号から3号への移行には、所定の技能検定に合格し、一定の職種で実務経験を積むことが求められます。この移行を果たすことで、実習生はより専門的な作業をおこなうことができ、最長5年間の在留期間が与えられます。

3号の在留資格は、2年、通算すると5年です。2号からの移行を経て与えられるため、実習生はすでに基本的な技術を習得しており、さらに高度な技能や知識を身につけることが求められます。実習生は、5年目の終了時において技能検定や実技試験を通じて、その熟達度が評価されます。3号に移行するためには、指定された職種での実務が求められ、実技試験を含む検定に合格することが不可欠です。

また、3号実習生の受け入れには監理団体が関与し、活動内容が計画的に管理されます。出入国在留管理庁への提出書類や審査を経て、実習生は3号の資格を取得します。これにより、実習生は日本での技能をさらに高め、専門的な作業を実施することが可能です。実習生が5年目に達する頃には、その技術は相当なレベルに達し、実践的な業務において重要な役割を果たすことが期待されています。

技能実習3号への移行対象職種一覧

技能実習3号への移行対象職種は、技能実習2号から3号へと移行する際に、実習生が進むべき職種の一覧を示しています。これらの職種は、実習生がより高度な技術を習得し、実務において重要な役割を果たすために、特定の作業や技術を要求される分野です。3号移行を目指す実習生は、特定の職種において所定の技能検定に合格する必要があり、その後、より実践的な作業に従事することになります。技能実習3号への移行対象となる職種については以下の通りです。

①農業関係(2職種6作業)
②漁業関係(2職種10作業)
③建設関係(22職種33作業)
④食品製造関係(9職種16作業)
⑤繊維・衣服関係(13職種22作業)
⑥機械・金属関係(17職種34作業)
⑦その他(16職種28作業)

これらの職種は、実習生が技能実習2号から3号へ移行する際に選ばれるものであり、移行には各職種に関連した検定や試験に合格することが必須条件です。
JITCO(Japan International Training Cooperation Organization)や公式ウェブサイトや規定(https://www.jitco.or.jp/)にて、職種ごとの具体的な要件や手続きを確認できます。

それでは、それぞれの職種について詳しく見ていきましょう。

①農業関係(2職種6作業)

農業関係の分野は「耕種農業」と「畜産農業」の2つの職種があり、それぞれが異なる作業内容を含んでいます。

耕種農業は、主に植物の栽培に関する技術を学びます。以下の3つの作業が対象となっています。畜産農業は、動物の飼育やその管理技術を学びます。

②漁業関係(2職種10作業)

漁業関係の分野は、魚介類を効率的かつ持続的に獲る技術を学ぶことが目的です。この分野には「漁業」と「養殖業」の2つの職種があり、それぞれが異なる作業内容を含んでいます。これらの技術は、実習生が母国で持続可能な水産業を発展させる際の大きな助けとなります。

③建設関係(22職種33作業)

建設関係の分野は、建設関係の22職種33作業が対象とされ、多岐にわたるスキルを習得できます。これらの職種や作業は、日本国内での建設プロジェクトに必要な専門知識や技術を実践的に学び、母国での発展にも貢献できるよう設計されています。

④食品製造関係(9職種16作業)

食品製造関係の分野は、9職種16作業に分かれます。多様な食品の加工や製造に必要な技術を学び、安全で高品質な製品を供給することが目的です。

⑤繊維・衣服関係(13職種22作業)

繊維・衣服関係の分野は、13職種22作業に分かれ、素材の加工から製品の製作まで、衣服や関連製品の製造工程に必要な技術を習得します。ニット製品や織物、衣類の縫製、特殊な座席シート製作など、幅広い職種と作業内容が含まれています。

⑥機械・金属関係(17職種34作業)

機械・金属関係の分野は、17職種34作業に分かれ、金属の加工や機械の組立・仕上げなど、製造現場の中核を担う作業で構成されています。

⑦その他(21職種38作業)

その他の分野は、これまでの分野には該当しない21職種38作業で構成されています。

技能実習2号→3号への移行に必要な条件と手続き

技能実習2号から3号への移行は、日本で技能実習生がさらに専門性を高めた実習をおこなうために重要なステップです。移行には、さまざまな条件や手続きが関わります。技能実習3号(または技能実習3号ロ)への移行を希望する場合、まず2号技能実習を修了する必要があります。2号の修了には、所定の技能検定や実技試験に合格することが必須です。この技能検定は、技能実習1号で得た基本的な技術を発展させた内容が問われ、2号修了時には3級相当のレベルが求められます。合格しない場合は、移行が認められません。

技能実習3号の在留資格を取得するには、技能実習2号修了後、一時帰国が義務付けられています。出国してから母国に戻る期間は1ヶ月以上で、その間に必要な準備をし、その後、再入国許可を取得、日本に戻ることになります。再入国の際は、新たな実習計画書の認定を受けなければなりません。この実習計画書は、公益財団法人国際人材協力機構(JITCO)の支援を受けながら作成される場合が多く、具体的な内容やスケジュールが含まれています。

受け入れ企業や監理団体は、技能実習3号移行のために求められる手続きをサポートします。具体的には、出入国在留管理庁への許可申請や書類提出、技能評価試験の手配などが含まれます。この際、受け入れ側は実習生の実技や技能検定の結果を元に審査を行い、適切な技能実習計画が認定されるよう努めます。技能実習3号の計画が承認されると、通知が届き、それをもとに入国手続きが進められます。

さらに、技能実習3号への移行には監理団体や企業がJITCOや地方出入国在留管理局などの機関と密接に協力し、必要な申請や許可手続きを円滑に進める必要があります。これにより、日本国内での在留資格変更が正式に認められます。そのため、移行の流れを事前にしっかりと把握し、規定や期限を守ることが重要です。

また、技能実習生が技能実習3号ロで得た技術や知識は、母国に帰国した後も活用できるよう設計されています。この移行制度の目的は、日本と実習生の母国の双方に利益をもたらすことです。技能実習2号から3号への移行の流れを正確に理解し、計画的に手続きを進めることで、実習生と受け入れ側双方がより良い成果を得られるようになります。なお、詳細な手続きや条件については、厚生労働省のホームページやJITCOの公式サイト、関連機関の資料を参考に不明な点は問い合わせましょう。

技能実習3号から特定技能実習への移行はできる

技能実習3号から特定技能1号への移行は可能であり、これにより外国人労働者がさらなる専門性を持った分野で働くことができます。ただし、移行には、一定の要件を満たし、関連する試験に合格することが必須条件です。技能実習3号は、技能実習1号および2号の修了後に進む在留資格であり、主に高度な技能を習得することを目的としています。

一方、特定技能1号は、日本の産業分野で即戦力となる人材を受け入れる制度であり、技能実習3号とは目的や在留資格の運用において違いがあります。

技能実習3号から特定技能1号への移行は、対象となる分野での関連性がなければなりません。たとえば、技能実習3号の建設分野、介護分野、農業分野、製造業(工業・機械・電気電子関連産業・自動車整備など)、漁業分野、造船・舶用工業分野、外食業、ビルクリーニング、宿泊などから、特定技能1号の同様の業種へ移行することが可能です。これにより、技能実習生がこれまでに習得した技能や実務経験を日本国内の産業に活かせるようになります。

移行するためには、特定技能評価試験や技能検定試験(技能実習3号修了時の技能水準が特定技能1号に求められる水準に一致する場合、試験は免除されることもあります)に合格することが必須です。移行手続きなどの関係上、2号修了2か月前には受検するようにしましょう。これには、介護分野での日本語能力試験(N4以上)やその他の業種での日本語要件が含まれる場合があります。加えて、技能試験では、特定分野に応じた専門的な業務能力を証明することが求められます。

技能実習3号と特定技能の違い

技能実習3号と特定技能は、いずれも外国人が日本国内で働くための在留資格ですが、その目的や制度の運用方法には大きな違いがあります。

技能実習3号は、技能実習制度の最終段階に位置し、外国人労働者が母国で活用できる高度な技能を習得することを目的としています。この制度は主に技術移転を目指しており、対象分野は農業、製造業、建設業、漁業、介護など、多岐にわたります。技能実習3号の期間は最長で2年間であり、技能実習1号と2号の合計3年間を修了した後、さらに追加の訓練が可能となる形です。

一方、特定技能は日本国内の労働力不足を補うために設けられた制度であり、特定の分野における即戦力の人材を受け入れることを主な目的としています。特定技能には1号と2号があり、特定技能1号では、介護、建設業、農業、外食業、宿泊業など、14分野での就労が認められます。特定技能1号の在留期間は最長5年で、一定条件を満たす場合は特定技能2号への移行も可能です。特定技能2号では家族の帯同も認められますが、特定技能1号では家族の帯同は認められていません。

技能実習3号では、受け入れ先企業や監理団体が作成した技能実習計画に基づいて業務をおこなうため、実習内容が厳密に管理されます。また、技能検定や評価試験を通じて技能の習得状況を確認する仕組みが特徴です。一方、特定技能は実務経験や技能試験の合格によってその能力を証明し、より自由度の高い労働が可能です。

技能実習が「訓練」として位置付けられるのに対し、特定技能では「労働」が主目的である点が明確に異なります。

まとめ

外国人技能実習制度は、日本が外国人に技術や知識を提供し、母国で活用することを目的とした制度で、技能実習1号、2号、3号の3段階があります。なかでも、技能実習3号は、技能実習2号を修了した実習生が対象で、最長1年間延長可能です。この段階では高度な技術や専門知識を習得し、実践的な経験を積むことを目的としています。

一方、特定技能1号は、日本の労働力不足を補うために設けられた制度で、特定の業種で即戦力として働くことを目的とし、最長5年間の在留が可能です。技能実習3号から特定技能1号への移行も可能で、一定の技術と日本語能力を持ち、試験に合格しなければなりません。

技能実習制度は技術移転を、特定技能制度は労働力確保を主な目的としており、それぞれ運用目的が異なりますが、技能実習生が特定技能制度に移行することで日本でより長期間働き、高度な技術を習得する道が開かれます。このような制度は、外国人労働者にとって日本での経験がキャリア形成に役立つ重要な手段となっているのです。

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