コラム
人手不足の訪問介護ヘルパーの現場で技能実習・特定技能の外国人材は活躍できる?注意点やメリット・デメリットを紹介!
外国人
訪問介護の現場では深刻な人手不足が続いており、高齢化が進む日本で介護職員の確保は大きな課題となっています。そこで注目されるのが、技能実習や特定技能の制度を活用した外国人材の活用です。
外国人材は、訪問介護の現場で大いに期待されていますが、その一方で文化や言語の壁、業務特有のスキル習得の難しさなどの課題もあります。
この記事では、外国人材が訪問介護でどのように活躍できるのか、また、企業や利用者が知っておくべき注意点、さらには活用のメリット・デメリットについて詳しく解説します。
目次
外国人介護人材(ヘルパー)が訪問介護で注目される理由とは?
日本の訪問介護現場では、深刻な人手不足と高齢化が進み、き必要とされる介護職員の数は増え続けています。介護現場は、離職率が高いため現場の負担も大きくなっているのが現状です。
そこで注目されているのが、外国人介護ヘルパーの雇用です。以下が特に注目されるようになった要因です。
- 介護現場の人手不足
- 利用者に寄り添う姿勢や熱意
- 多文化共生の促進
外国人が訪問介護業界で注目される理由について詳しくみていきましょう。
1.介護現場の人手不足
日本の訪問介護現場では、職員の離職率が高いことや若年層の介護職への就労意欲が低いことなどが要因となり、人材不足が深刻化しています。さらに、訪問介護は、一人で利用者宅を訪れるケースが多いため、身体的・精神的な負担が大きく、特に新人職員が定着しにくい現場といわれています。このような背景から、国内の人材だけでは必要なケアを提供することが難しく、外国人訪問介護人材(ヘルパー)の活用が急務となっています。
2.利用者に寄り添う姿勢や熱意
外国人介護人材(ヘルパー)は、家族への仕送りやスキルアップへの意欲が高く、仕事に対する熱意が強いことが特徴です。利用者一人ひとりのニーズに応じた丁寧で真摯なケアは、現場で高い評価を受けています。彼らの姿勢は利用者だけでなく、他の職員にも良い刺激を与え、職場全体の士気向上にもつながります。
3.多文化共生の促進
外国人材の活用は、介護現場に異文化理解が広がり多様性を受け入れる環境が整います。これにより、職場の活性化や新たな視点がもたらされるだけでなく、利用者とのコミュニケーションの幅も広がるでしょう。また、外国人介護人材(ヘルパー)が母国で培った価値観や生活習慣を活かすことで、ケアの質がさらに向上する可能性もあります。多文化共生を通じた職場の新たな可能性が期待されているのです。
【対象拡大へ】訪問介護ヘルパーができる外国人材
外国人材の活用が新たな解決策として注目を集めており、これまで施設介護が中心だった外国人介護人材は、技能実習や特定技能の制度を通じて訪問介護の分野にも進出し始めています。日本語能力や専門スキルを備えた外国人訪問介護ヘルパーの存在は、利用者への丁寧なケアを実現し、現場の負担軽減に大きく貢献する可能性を秘めています。
それでは、訪問介護分野における外国人材の現状と今後の可能性についてみていきましょう。
特定技能や技能実習の制度を活用する
介護分野で外国人介護人材を受け入れるには、「技能実習制度」または「特定技能制度」を活用するのが一般的です。それぞれの制度の特徴と活用の流れは以下のとおりです。
技能実習制度
技能実習制度は、外国人が日本で働きながら専門技術や知識を習得するための制度です。介護分野では、2021年から技能実習生の受け入れが可能となりました。しかし、技能実習生が訪問介護に従事することはできません。また、技能実習制度の目的は、日本で学んだことを自国のために活かすことであるため、実習期間は原則1~3年、期間終了後は帰国しなければなりません。
特定技能制度
特定技能制度は、即戦力となる外国人材を受け入れる制度で、特定技能1号でも介護分野が対象となっています。しかし、現在は施設などでの介護はできますが、訪問介護は認められていません。外国人材が訪問介護ヘルパーとして従事するには、介護福祉士の資格をもつ経済連携協定(EPA)締結国の出身者、もしくは在留資格「介護」が必要です。さらに、特定技能の場合、介護分野では日本語能力試験N4以上の合格や介護技能評価試験の合格が必要です。訪問介護では直接的なケア業務が含まれるため、資格や業務内容が適切であるか事前に確認しましょう。
現在、厚生労働省は2025年の実施をめどに、特定技能でも一定条件を満たせば訪問介護が可能とする順守事項などを固め、多くの外国人材が訪問介護ヘルパーとして従事できるよう努めています。
外国人介護福祉士へのキャリア形成を視野に入れる
外国人が外国人介護人材(ヘルパー)として働くなかで、介護福祉士を目指すことは個人の成長だけでなく、業界全体の質向上にもつながります。特定技能や技能実習制度を通じて現場で経験を積み、日本語力や専門スキルを磨くことで介護福祉士国家試験の受験資格を得ることが可能です。訪問介護の実務では、利用者に寄り添うケアやコミュニケーション能力を培うこともできます。
また、事業所が日本語学習や試験準備をサポートすれば、外国人材が資格取得を目指しやすくなります。介護福祉士となった外国人は、現場のリーダーとして活躍し、多文化共生を推進しながら業界の人材不足解消にも寄与する存在となります。事業所側の長期的な支援は、キャリア形成を成功させるカギとなるため欠かすことができません。
外国人介護人材(ヘルパー)の課題と対策
外国人介護人材(ヘルパー)は、日本の訪問介護現場における人手不足解消の重要な担い手として期待されていますが、言語や文化の違い、専門スキルの習得など、さまざまな課題に直面しています。これらの課題を解決し、外国人材が持続的に活躍できる環境を整えるためには、受け入れ企業や支援団体による適切なサポートが必要不可欠です。
外国人介護人材が直面する具体的な課題と、それに対する効果的な対策についてみていきましょう。
事業所での受け入れ態勢の課題
外国人介護人材(ヘルパー)に対する業務内容の説明や、日本独自の介護手法に関する研修は大きな課題の一つです。加えて、外国人材が必要とする住居の手配や生活サポートについても万全の態勢を整えなければなりません。
受け入れ態勢が不十分な事業所では、外国人材の仕事に対する意欲を削ぐだけでなく、日常生活の不安が増大し、職場でのパフォーマンスにも悪影響を及ぼします。
さらに、職員間のコミュニケーション不足も課題で、外国人介護人材(ヘルパー)が日本語に不慣れな場合、業務の指示が伝わりにくくなることがあります。
その結果、職場の人間関係がぎくしゃくし、外国人材の離職率が高くなる原因にもつながるのです。
文化や言語の壁を乗り越えるための取り組み
受け入れ態勢の課題を解決するためには、事業所が外国人介護人材(ヘルパー)専用の研修プログラムを設けたり、日常業務をサポートする体制を整えたりすることが必要です。また、職員全体で外国人材を受け入れる意識を共有するための研修を実施し、職場全体でのサポート体制を構築することが求められます。多くの事業所では日本語教育のプログラムを導入しています。日本語能力試験(JLPT)の取得を目指すだけでなく、介護現場で頻出する専門用語や丁寧な言葉遣いを重点的に教えることが効果的です。また、日常会話を通じて日本語力を自然に向上させるための交流イベントや学習の機会を設ける事業所も増えています。
さらに、文化の違いについても配慮が必要です。外国人ホームヘルパーが自身の文化背景を理解してもらえないことで、職場での孤立感が強まることがあります。そのため、事業所側が多文化共生を推進する取り組みをおこなうことが重要です。たとえば、定期的な職員同士の意見交換会や、異文化理解を深めるための研修を実施することで、外国人材が働きやすい環境を整えられます。
サービス提供責任者への影響とサポート体制
外国人介護人材(ヘルパー)が利用者と円滑なコミュニケーションを取れるよう、利用者やその家族にも多文化共生の意識を持ってもらうことも重要な課題です。そのためにも、外国人材の背景や習慣を紹介するパンフレットを配布するなど、利用者との信頼関係を築く工夫が必要です。特に、外国人ホームヘルパーが業務内容を理解するまでには、サポート責任者が逐一フォローをおこなう必要があります。これは、言語の壁や日本の介護方法への不慣れが原因で、業務指示をスムーズに伝えることが難しいためです。その結果、責任者自身の業務負担が増え、他の職員や利用者への対応が手薄になる可能性もあります。
こうした課題を解決するためには、サポート責任者をサポートする体制の構築が欠かせません。たとえば、外国人材専任のトレーナーを配置し、初期段階の指導を分担することで、サポート責任者の負担を軽減することができます。また、ICTツールを活用して、業務の効率化を図ることも効果的です。翻訳アプリやオンライン研修システムを導入することで、外国人材への説明が簡単になり、サポート責任者の負担が軽減されます。
サポート責任者だけに外国人介護人材(ヘルパー)のフォローを任せるのではなく、他の職員もサポートに関与することで、現場全体で負担を分散させましょう。
外国人介護人材(ヘルパー)を活用するメリットデメリット
外国人介護人材(ヘルパー)を活用にはメリットとデメリットがあります。メリット、デメリットを十分に理解し、効果的なサポート体制を整えることで、外国人介護人材の活用の成功に近づきます。
それでは、外国人介護人材(ヘルパー)を活用するメリットとデメリットを挙げていきます。
外国人介護人材(ヘルパー)を活用するメリット
少子高齢化が進む日本では、介護業界の人手不足が深刻な社会問題となっています。そのようななか、外国人介護人材の活用が注目されています。技能実習制度や特定技能制度などを活用することで、必要な人材を確保し、介護現場の質を向上させる取り組みが進んでいます。
外国人介護人材(ヘルパー)を活用するメリットは、人手不足の解消に向けた重要な戦力として期待されています。訪問介護の分野でも即戦力として活躍が見込まれ、介護現場のニーズに応える存在です。さらに、外国人材は自国でのキャリア形成や家族への仕送りといった目標を持ち、高い意欲をもって業務に取り組む傾向があります。
そのため、利用者一人ひとりに真摯に向き合い、丁寧で心のこもったケアを提供することができます。
外国人材の採用は、多文化共生の推進にも寄与します。異なる文化や価値観が職場に取り入れられることは、異文化理解が促進され、職場全体の活性化につながるでしょう。
こうした多様性は、現場に新たな視点や工夫をもたらす貴重な要素です。
外国人介護人材(ヘルパー)を活用するデメリット
外国人介護人材(ヘルパー)の活用は人手不足の解消に有効ですが、導入にあたってはいくつかの課題があります。これらの課題を事前に把握し、適切な対策を講じることが、スムーズな受け入れと長期的な成果に繋がります。
まず、日本語の不慣れや文化の違いから、利用者や同僚とのコミュニケーションに困難を抱えるケースがあります。これにより、業務効率やサービスの質に影響を与える可能性があるため、言語教育や文化理解を深めるための取り組みが重要です。
次に、外国人材が日本の介護手法や利用者のニーズを十分に理解しましょう。そのためには、事業所側で研修やサポート体制を整えることが必要です。受け入れ初期には、時間とコストがかかるため、計画的に教育プログラムを実施することが求められます。
長期的な定着の難しさも課題の一つです。契約終了後に帰国したり、他業種に転職したりするケースもあるため、働きやすい環境づくりやキャリア形成の支援が欠かせません。定着率を高めるためには、現場でのモチベーション維持やライフプランへの配慮が重要となります。
これらの課題を解消するためには、事前の準備と適切なサポート体制の構築が不可欠です。外国人介護人材の力を最大限に活用するためにも、受け入れ側の取り組みが必須となります。
よくある質問
外国人介護人材(ヘルパー)の受け入れに関して、多くの事業所がさまざまな疑問を抱えています。
「どのように受け入れを進めればよいのか」「文化や言語の壁をどう克服するのか」など、課題解決のカギとなる情報を知りたい方も多いでしょう。
それでは、外国人介護人材(ヘルパー)の受け入れに関して、よくある質問をみていきましょう。
Q.訪問介護で外国人介護人材(ヘルパー)を採用する際に知っておくべきポイントは?
訪問介護で外国人介護人材(ヘルパー)を採用する際には、法的要件の確認、受け入れ体制の整備、サービス利用者や家族への配慮、定着を目指したサポートを
責任者だけでなく、事業所全体で把握しておくことが大切です。
Q.外国人介護人材(ヘルパー)の具体的な仕事内容は?
外国人介護人材(ヘルパー)の主な仕事内容は、食事の介助、入浴や排泄の補助、着替えの手伝いなど身体介護、掃除、洗濯、買い物、調理といった生活援助です。
ほかにも、利用者の話を聞いたり、趣味や活動を一緒に楽しむなど利用者の生活の質向上に直結する重要な役割を担っています。
介護人材サービスは@カイゴへ
訪問介護の現場で必要な介護人材をお探しなら、「@カイゴ」にご相談ください。
豊富な経験を持つ外国人介護人材や日本人スタッフなど、訪問介護サービスに適した多彩な人材を紹介いたします。介護現場での人手不足や特定技能人材の採用専門スタッフによる丁寧なサポートが可能です。
「@カイゴ」では、必要な日本語能力やコミュニケーション力を持つ介護人材を厳選し、さらに日本での生活に馴染むための支援もおこなっています。
まとめ
外国人介護人材(ヘルパー)は、訪問介護現場での活躍が期待されています。同時に、受け入れるための態勢づくりやサービス利用者の理解など、事業所が抱える課題も多いです。
言語の壁や文化の違いがコミュニケーションに影響を与えることがあり、これに対処するための研修やサポート体制の整備が求められます。また、外国人スタッフと日本人スタッフとの連携が円滑に進むようにするため、職場環境やチームワークの向上にも注力しなければなりません。さらに、サービス利用者が外国人介護人材に対して不安や誤解を抱くこともあるため、利用者への理解促進や教育活動が重要です。
このような課題を克服するためには、事業所が柔軟な対応策を講じるだけでなく、外国人介護人材がより快適に働ける環境を整えることが介護業界全体の発展に繋がるでしょう。